mona recordsとEggsが共同で企画するシンガーソングライター限定イベント『まどか vol.10』が、2月26日にmona recordsで行われた。2022年6月より開催され、記念すべき10回目となるこの日の公演に出演したのは、出演順にながいひゆ(Hammer Head Shark)、柴田ゆう(sympathy)、望月志保(宇宙団)。個性際立つ3組によるステージの模様をお届けする。
場内の雰囲気を変えるパフォーマンスでトッパーの役目を見事に果たした!ながいひゆ(Hammer Head Shark)
最初に登場したのはオルタナティブ・ロックバンドHammer Head Sharkのボーカル&ギター、ながいひゆ。アコースティックギターの弾き語りで披露したのは「Dummy Flower」「レイクサイドグッドバイ」など、Hammer Head Sharkのセルフカバーを含むラインナップ。浮遊感のあるサウンドに溶けこむ伸びやかな歌声が、場内を幻想的な空気に包みこんでいく。言葉少なに演奏し歌を届けて行くながい。「そこにいてくれてありがとうございます。来てくれてありがとうございます」と、この日唯一と言えるMCでオーディエンスに感謝の言葉を伝え「海星」を演奏。クライマックスに向かうにつれて、次第に音圧が増していく。ラストは「たからもの」。微笑みながら「ありがとうございました」という言葉を残し、オーディエンスの拍手と歓声を受けながら、ながいはステージを後にした。


setlist
- 01. きら
- 02. Dummy Flower
- 03. レイクサイドグッドバイ
- 04. 優憂
- 05. 貝殻
- 06. 海星
- 07. うた
- 08. 園
- 09. 赤い風船
- 10. たからもの
高知発!柴田ゆう(sympathy)は艶のある声で変化自在な歌声を聴かせた
2番手に登場したのは、高知県で結成された4ピースガールズバンド、sympathyのボーカル・ギター柴田ゆう。少し甘さのある愛らしい歌声を聴かせたかと思えば、こぶしや巻き舌などを織り混ぜてくるスキルと、艶のある歌声で観客を自分の世界に誘っていく。めまぐるしく変わる声色が印象的だが、ロングトーンでパワフルに聴かせる声量も武器だ。MCで柴田は「普段は隠している汚い部分を、声を大にして言うことはできなくても、曲にして届けたいなと思って弾き語りをしています」とソロ活動の目的を述べた。その言葉通り、憧れの人になれないジレンマを吐露した「椎名林檎になれない」、劣等感と承認欲求がむき出しとなった「才能」など、内に秘めた葛藤が溢れ出す楽曲を次々に鳴らした。赤裸々でリアルな歌詞がストレートに届く緩急ある歌声でオーディエンスのハンズアップを誘いステージを盛り上げた。


setlist
- 01. キス is 物理
- 02. 泣いちゃった
- 03. 椎名林檎になれない
- 04. あたしつよいこ
- 05. 浅瀬で抱き合う
- 06. 才能
- 07. 地平線
- 08. SNS
- 09. さよなら王子様
トリは東京出身の望月志保(宇宙団)。本人が「予想外だった」というアンコールでも歓声が起こった
トリを務めたのは、東京発5人組ニューウェーブ系ポップバンド宇宙団のボーカル&ギター、もちづき、こと望月志保。冒頭、望月は「はじめましての方は、はじめまして。宇宙団からきました望月志保と申します」と朗らかにご挨拶。「バンドでやらなくなっちゃった曲」という言葉の後に「ランデブー」を、「友達としか思えないと言われて根に持って作った曲」とおどけながら「見せてない」を披露。ユニークな曲紹介でオーディエンスの爆笑を誘う望月。さらに、昭和歌謡やアイドルをルーツとしたリズミカルな楽曲に、フロアから自ずと手拍子が湧き起こる。望月が予想外だったと言うアンコールに選んだ曲は「脱ダイエット宣言」だ。コミカルな楽曲とMCで“満腹”になった場内には、この日1番大きな拍手と歓声が響き渡った。


setlist
- 01. フライング春
- 02. 花を買う
- 03. ランデブー
- 04. いつかは
- 05. エンドロール
- 06. Sunday
- 07. 見せてない
- 08. ルルル
- 09. おばかちゃん
- En. 脱ダイエット宣言
春の訪れを感じる暖かな1日となったこの日。ガーランドが張り巡らされ、野外フェスのような非日常を醸し出していたmona recordsで、3組が思い思いに音楽を届けた。来場が叶わなかった方も、配信でご覧になった方も、次回はmona recordsでリアルな『まどか』を楽しんでいただきたいと思う。

写真・佐藤 薫/文・橋本恵理子