<前記事>
大伸「さあ、ここからはですね、お互いのボーカル、ボーカリストとしてのこだわりとかを聞かれるみたいです。」
(一同爆笑)
─「まず、お互いどういうバンドなのかとか、関係性を聞いたので。次はこの3人。(今回)このボーカリストを集めた理由も、この3バンドって結構、歌が強いバンドというか。
やっぱり歌に思いを込めているとか、声を楽器としてちゃんと活かしているようなバンドだなと思っていて。」
大伸「大丈夫?寺澤ちょっと反応してるけど。」
寺澤「いやいや。(笑)大丈夫。」
大伸「自信持てよ。(笑)」
寺澤「頑張ります。(笑)」
─「そういうバンドのボーカリストを務めてると思うんですけど、ボーカルとしてはこれは必要かなとか、自分の中のこだわりだったり、工夫していることがありますか?」
大伸「本当に多種多様というか、色々なボーカリストがいる中で正解は無いとは思っているけど、あくまで一個人として。俺はあくまでボーカリストなんで、ギターを弾くけど、ギターボーカルではないというか。ボーカルギターというか。ボーカリストであり、ギターを弾くっていうのが本当に歌を歌うための道具でしかないというか。
俺はもう音とか機材とか全然わからないし、その辺は、うち詳しい人がいっぱいいるんで(笑)言われた通りにやってるだけなんですけど。っていうマインドだから、どうしても歌に関しては1番こう、シビアになるというか。1つの楽曲を作り上げる上で、歌が1番、わかりやすいじゃん。リスナーとして。」
─「うんうん。」
大伸「歌を歌っているから 、うまく歌うために練習するとか、そういうことではない視点で今回は話すけど。1つの芸術だと思ってるから、歌い上げる。例えば俺らだったら、代表的なバラードで『Y』っていう曲があって。音源で録った『Y』もあるし、ライブでやる『Y』もあるし、弾き語りでやる『Y』もあるし。っていう中で、色んなライブがあるわけじゃん?
ライブって人生で1回じゃないから、月に何本とかやるわけじゃん。その中で『Y』を、月何本のライブの中でそのパターンの『Y』があるから、その土地とかその時々のテンションで『Y』を作り上げるみたいなイメージ。」
寺澤「うわー、すげえ」
大伸「同じ曲をただただ披露して提供するんじゃなくて、あくまで生演奏の即興の『Y』を。だからまじファーストテイク。それは楽器と大きな違いで。プレイヤー(楽器演奏者)って、例えばソロでアドリブをかましたりとかめっちゃいいと思うけど、aメロbメロとかってそんな大胆なアレンジって入れないと思うし、ちゃんと決まった譜面をどれだけ忠実に表現できるかみたいなところが肝じゃん。けど、歌はそこが唯一許されてると思ってて、まじで自由というか。楽器が土台でしっかりドカンとあるからこそ、ファーストテイクを提供できるというか。
例えば去年俺ら大阪初めて行ったんだけど、コンプラ的に使えるかどうかよくわからんけど、文化の違いとかってあるじゃん?関東とか関西の。とかを踏まえた上で、大阪で初めてやる『Y』って、どういう風に伝わるんだろうみたいなのもあるし。
だから、1曲を歌い上げて、あくまでファーストテイク、1発取りみたいなものを奏でるって感じかな。だから、ビブラートのかけ方とか、ここでがなるとか、しゃくるとか、あえて抜くとかを決めてやらずに、本当にその場でそこを歌うタイミングで判断してやるみたいな感じ。
なんか、のびのび歌ってますよ、俺は。あんまり気負わずに、のびのび歌うようにはしてます。だけど、そこに行くために、もちろん努力はあるし。それこそピッチ感とか、音程を外さないとか、うまく歌う、みたいな大前提のもとでやらないと成立しないから。そこまでいくための感覚とか技術の習得とか、色々細かい所とか含めたらもうキリが無いけど、それを踏まえた上で、表現の1つとして、アップテンポの曲でも攻撃的な曲でもバラードでも、なんかこう、そこにしか咲かない花みたいなものを咲かせるイメージでやる。あくまで、俺らは俺らとして、俺らの歌を、俺の歌をどういう表現をするかみたいなとこが、毎ライブ意識してるかなって感じ。」
─「なるほどなるほど。」
タカシマ「…すご。」
寺澤「すごいな、まじで。」
大伸「その、ボーカルとしての、俺にしかできないこと。華だったり、技術だったり。全部そうだけど。俺にしかできないことをライブで出せなかったら後悔するから、マジで全
振りしてますけど。後から何言われてもいいやみたいな。痛いやつって思われてもいいから。とにかくかっこいいを貫くみたいな。」
─「じゃあ次寺澤行きますか。」
大伸「あんまり無いっしょそういうの。」
寺澤「そうね。。。(笑)今の言われちゃうとね。(笑)」
大伸「え、これ大丈夫?俺たちのこと全然知らないCUTMANSのお客さんとかがこの記事読んだりさ、映像見たりする中でさ、俺、超嫌なやつだよね。」
(一同爆笑)
寺澤「大丈夫大丈夫(笑)」
大伸「関係値ありますからね??」
寺澤「僕はその、このバンド(での話)じゃないんだけど。そもそも、ボーカルになったことの始まりが、中学校の時にバンドやろうってなって楽器始めたんだけど、その時にパートを決めるみたいな。やっぱあるじゃないですか。楽器始める時にどれやるかじゃなくて、バンド始めるってことがスタートだったから。で、俺、じゃんけんで負けてボーカルだったんだけど。。。」
マナム(The Gentle Flower. Dr.)「分かるう。」
寺澤「じゃんけんで負けてボーカルになっただけだから、別に元々歌がすごい好きとか得意とかでも全くもって無かったし。で、今、じゃあなんで歌ってるのかってなったら、自分で書いた曲だし、自分で書いた歌詞だから、歌うみたいな感覚なんだよね、どちらかって言うと。だってそれは俺の人生だから、俺の曲だから歌うっていう気持ちがすごく強くて。最近、「そっか、ボーカルだよな」って思うことが、俺は増えてきたんだけど。色んな場所に行って、いろんなお客さんからお言葉いただいて。あのね、悪いこと(内容)じゃなくてね。」
大伸「知ってるよ。」
寺澤「(笑)最初に言ってたみたいに、「歌が立つバンドだよね」みたいな風に言ってもらえるようになって、あ、そうだよな、やっぱ、ボーカルなんだなっていう風に考えるようになったんですけど。ま、結構端的に、俺がステージでこだわってることは、あっても2、3個ぐらいで。1個は、1曲目は必ず目をつむって歌うようにしてて。ホールとかの状況じゃなくて、俺が(歌詞を)書いた時の気持ちを思い出したくて、1曲目のワンコーラスは目をつむって歌うっていうのを必ず決めてて。で、2個目は、大伸が言ってたこととちょっと矛盾するんだけど」
大伸「まあ多種多様だから」
寺澤「ちょ、あの、これ。これこそ俺らのこと知ってる人に対して失礼な可能性あるんだけど。aメロbメロは、まあピッチ守んなくてもいっかって思ってるところが正直あって。
どうせサビさえ合ってればいっかなって。なぜかって言うと、ピッチを守るために言葉を犠牲にするんだったら、俺は言葉が外音でも届く状態で、できるだけ口を大きく開けて、話すように歌うっていうことをすごい大事にしてて。」
大伸「めっちゃ大事やん。」
寺澤「歌詞を書く、メロを作る段階でも、絶対に言葉のイントネーションだけは守るっていうのを決めてて。それぐらい言葉を大切にしてて。うーん、僕がこだわってることって言ったらその2つかな。俺が思ったことを自分でも噛み砕くし、噛み砕きながら歌った先にどんな景色があるか。大伸が言ってたことじゃないけど、どう対話しながらライブを作っていくのかっていうことを考えてて。で、日常生活を送っていく中で1番ラフでいられる瞬間っていうか、ライブしてる時が本当1番緊張しない感じですね。」
─「じゃあタカシマ。」
大伸「こだわりまくりでしょ。」
寺澤「深いもんね、歌の出方が。」
大伸「滝みたいな感じで。」
タカシマ「いやいや。(笑)今、寺澤の話に俺は被る所がちょっとあって。言葉のイントネーションとか、メロディーと言葉を合わせた時に、絶対に自分の中でマッチさせられないものがあるのよ。それはどんなに好きなバンドの曲でも「あーこれは俺だったら絶対こうやってつけない」っていうの、結構いっぱいあって。なんかそれはやっぱり、目の前の人への伝わりやすさが変わると思うし。言葉の持ってる意味とかも、自分の中で間違えたものをつけちゃうと、軽くなっちゃうかなって思ってるところがあって、そこはめちゃめちゃ作る時にも意識してるし。さっきちょっと聞いてて、これ面白そうだなって思ったのは、地域によって文化が違うとかあったら、方言とかもあると思うから「あ、なんかそれちょっと活かせないかな」と思って。これからの抱負。(笑)これから作る時に活かそうかなってちょっと思ったかな。」
大伸「関西弁とかで歌うってこと?新しい風やねんとか??」
(一同爆笑)
タカシマ「それ音程じゃないじゃん。(笑)でも、例えばね?その土地に根付いた歌とか、そこにゆかりある歌を作る時とかはありだよね。藤井風とかやってそうだし。」
大伸「俺はライブで歌を歌う上での意識的な部分を話したし、この2人は結構内面的な、要は作詞の上でとかの話をしたじゃん。おもろいね。」
一同「うんうん。」
─「聞いてよかった。」
寺澤「大伸すげえってなったけど、プロやなあって。」
大伸「いやいや、そんなことはない。」
大伸「でもさ、どうしてもボーカルだから、俺あんだけ言ったけど、例えばもうテンション上がってる時とかあるじゃん。「もうこれ絶対伝えなきゃ」みたいな時に歌をバッサリカットして超喋ったりとかするわけよ。」
寺澤「あー、やってるかも!」
大伸「もうなんか結構怒られたりするレベル。たまに。歌えよ!みたいな。でもなんかそこって歌うより絶対叫んだ方が刺さるみたいな時あるじゃん。」
寺澤「あるある。」
大伸「そういうのめっちゃ大事だし。それこそ寺澤の話じゃないけど…サビで歌わないこともあるからね全然。なんか想い込めて喋りすぎてサビの頭飛ばすとかあるから。」
寺澤「ラッパーだラッパー。」
大伸「ツアーファイナル(Cinema)の時に、『Y』のギターソロで、 バーって熱量込めて喋って、バーン!ピンスポで全部飛んでもう「わーっ!」て。」
(一同爆笑)
マナム「あれ最悪だったよ。(笑)」
大伸「あれ最悪だったよね。(笑)結構後半でみんなもう感極まってる状態。何人か泣いてくれてる子とかもいる中で、1番大事なタイミングで真っ暗になって、俺、ピンスポでポカーンで「わあー!」とか言って。そこで、うわー…みたいな、負のオーラみたいのがフロアに充満するんじゃなくて、みんな超笑顔になったりとか、何やってんのー!みたいな。
結構初めてだったんだけど、そん時、『Y』のラスサビで全員笑顔で、拍手喝采みたいな景色。でもそれも、言い方はあれだけど、俺の力だなと思って。バンドの力だなと。俺がそういうキャラのボーカルじゃなかったら許されないし。あれだけ歌にこだわってて、真剣に伝えようとしてる俺が1番大事なとこ飛ばすっていうのが、一種のエンタメとして一瞬で浸透して。メンバーも誰1人こう、何やってんのお前みたいな顔してるやつはいなくて、全員が「はい、やっちゃった」みたいな感じでやったから、それがフロアにドゥワーって浸透して。そこからあと3曲ぐらいしかやってないけど超盛り上がって、みたいな感じだったから。それもそれでライブだから、ボーカルのナリみたいなのが出るじゃん、おもろいよねっていう」
寺澤「まあ、人間だよね。ボーカルは。」
大伸「2度と経験したくないけど笑」
─「じゃあ、今お互いに自分のこだわってるところを話してもらったんだけど、逆に他の2バンドの、詩の作り方とか歌い方とか、そういうところでお互いにここ好きだなあ、ここめっちゃ衝撃受けたとか、なんかそういうエピソードがあれば教えてほしいです。」
大伸「めっちゃおもろいその話。」
─「じゃあ大伸から喋ってみて。」
大伸「えー。絶対それ最初に聞いていい気持ちになってからの方が喋れるじゃん。」
寺澤「それはそうだ、じゃんけんで決める?」
はい、じゃんけんぽいあいこでしょ。(1寺澤 → 2タカシマ → 3大伸)
寺澤「・・・なるほど笑。俺2組で、特に好きな曲も1曲ずつ決まってるんで、俺は死ぬほどいじってるんだけど。」
大伸「『黎明』と『新東京』だろ。」
寺澤「そう『黎明』と『新東京』が好きなんだけど。じゃあ、まず『新東京』の方から。『新東京』は最初、もりしょ~くん(Gentle Gt.)が『東京』って曲を書いたんだよね?」
大伸「そうそう。」
寺澤「それに大神が書いた歌詞が混ざって『新東京』なんだけど、ジェントル知らない人もいると思うから、ジェントルは群馬のバンドなんだけど。まあ、俺の解釈がそれで合ってるのかわからないんだけど。aメロはまんま『東京』の歌詞が使われてんだよね。」
大伸「そう。」
寺澤「で、bメロから変わって」
大伸「すげえよく知ってる。怖いんだけど、言ったことねえんだけど!」
(一同爆笑)
寺澤「で、そのもりしょ~くんって、結構俺ら寄りなのよ。多分感性が。ちょっとCUTMANSっぽい。ジェントルの中で言うと、なんて言うんだろうな、1Kに住んでる寂しいやつみたいな感じ(笑)」
(一同爆笑)
寺澤「なんか、そういう雰囲気を感じる歌詞だよね。aメロは、ちょっとリアルな生活感のある歌詞なんだよ。で、bメロぐらいから急に大伸になるんだけど、そっからね、なんて言うんだろうね、俺、両方ともの歌詞知ってるからあれなんだけど、大伸が加わったことによって、より前向きに曲が進んでいく感覚がある。」
大伸「すげえなマジで!?すげーわ!鳥肌が立ったわ。」
寺澤「俺は「群馬のバンド」っていう風に一まとめにするの、ちょっと違うなとは思うんだけど、でも、町を大事に思ってきた人のサビの歌詞だなって俺は思うのね。その場所が東京だったにしろ、群馬だったにしろね、その舞台が。まぁ聞いてほしい、 読んでほしい。あのサビの歌詞を。俺は、千葉県の佐倉市に住んでるわけなんだけど。地元にも会えなくなっちゃった友達とか、結構いっぱいいるんだけど、すごいそういう友達のこととか思い出すから、あの曲がめちゃくちゃ好きって感じ。
『黎明』は…俺はもう、1Kっぽい歌詞好きなんだけど。(笑)
『黎明』のすごい好きなところは…これも解釈合ってるかわかんないんだけど、『黎明』も最初絶対1人なのよ。部屋で。そう歌詞に書いてあるし。自分だけの楽しみ感、ワクワク感、不安とかっていうものが、すごくaメロで感じる部分があるんだけど。でも、bメロの歌詞で「僕の隣で 息絶えないで 泣いてしまうから」って歌詞があるんだけど。急に相手が現れるというか、大切な人が現れて、その人が自由であってほしいってことだと思うんだけど、その人その人の幸せをちゃんと持っていてほしいってことだと思うんだけど。ってことを、bメロで言ってくれた上での。キメとかをつけずにだよ?ヌルッと入る、あのヌルッと入る「新しい風」の爽快さっていうか。詩の話だったけど、曲としても。「新しい風」とか言われて「僕ら同じタイミングで」とか言われちゃって。こんなイケメンな人に。
それは…さぁ、好きになっちゃうよね。」
(一同爆笑)
寺澤「すごいよ、これは。これはすごいなと思って。顔も相まって。」
大伸「結局顔じゃん(笑)」
寺澤「あと、一応ちょっといじっておきたいんだけど、やっぱり音源と全然違うんだよね、ライブの歌い方が。音源はすごい綺麗に入るんだけど。気合い入ってるのかなんか知んないんだけど。この前のクラシゲさんの時もそうだったし、ツアーファイナルの時もそうなんだけど「泣いてしまうから・・・新しい風えぇぇぇぇ!!!」みたいな。なんかそういうところがすごい好きです。」
─「じゃあ次はタカシマ。」
タカシマ「歌詞の話しようと思ったんだけどさ、俺さ、考え直してみたら、人の歌の歌詞全然聞かないから。(笑)ボーカルの話していい?あのー、なんでこの2バンドが好きになったのかなって考えたら、やっぱりボーカルが崇高な感じに…ま、全然ベクトル違うけど。(笑)」
大伸「(爆笑)悪口にも聞こえるからそれは!!(笑)」
タカシマ「いやでも本当に。(笑)さっきの話の続きみたいになるかもしれないけど、ボーカルをやる以上歌もそうだし、1つ1つの言葉も動きも、ギターの弾き方とかも、立ち方とかも、入場の仕方も、全部『ボーカル』だと思うし、そこにカリスマ性とかスター性みたいなのが見えてくるのがジェントルのボーカルとしての像だなっていう風に思ってて。
まずそういうところ参考にさせてください。(笑) 逆にね、逆に?(笑)自分の内面を全部ライブで出してくれる、そういう意味でのボーカルっていう姿がCUTMANSからは見えると思ってて。俺は欲張りだから、2つとも兼ね備えたくてですね。」
寺澤「あー、なるほどね。」
タカシマ「どっちもでできたらやばいんじゃね?と思って、日々勉強させてもらってます(笑)本当に二人とも尊敬できるなっていつも思いながら聴いてるし、自分も頑張りまーす。」
大伸「いや、いい気持ちだね。悪くない。結構好きよ、そういうの。俺もね、あんまり歌詞とかそんなに興味なくて。興味なくてっていうのも、結局歌詞ってもう聴いた人の解釈だからさ。そこに水差すつもりもないし、歌詞はもうそいつが書いた歌詞だから、もういいやん。それはそれで。」
寺澤・タカシマ「うん。」
大伸「そもそも前提として2人にリスペクトがあって、その上でそいつが書いてる歌詞だから、まあ良い(歌詞)じゃん、絶対。その上で聴いてるから。俺も(話すのは)結構人間的な部分なんだけど。まあ、2バンドともいじるとすると、タカシマはマジでねばっこすぎ。(笑)ねばっこすぎる。(笑)もうなんか張り付く感じ。寺澤は、普通の人間ではありえないぐらいのペースで声裏返るから。(笑)結構(出会った)序盤の頃とかに気になってて、もっと喉強くした方がいいんじゃないかとか思ってたけど、今でこそそれがなかったら、ちょっと物足りない。裏返らない感じの置きに行った曲とか、作んないでほしい」
寺澤「あー」
大伸「それでこそ寺澤のめっちゃ良さみたいな。さっきのタカシマの話じゃないけど、超いい意味で、そのままじゃん?超いい意味でただの一般人っていう感じだから、それができるのも才能というか。どうしても、なんか飾りたいとか、目立ちたいからボーカルやってるわけで。ていうのは(振る舞いに)出るけど、(寺澤は)目立ちたくなさそうじゃん?そこまで振れるのもすごいと思うし。俺、2人に共通して思うことというか、すげえ好きな部分は、ボーカリストとして、そのバンド(の中)で1番めちゃくちゃ尖ってる、2人とも。 ジェントルは結構露骨に俺がマインド的には尖ってて、あと3人は丸いみたいな感じだけど。
逆に、全員ちょい尖ってるみたいなバンドもいるじゃん。この3バンドの共通は、ボーカルがズバ抜けて尖ってるし、その種類は違くても。タカシマとか超丸そうに見えるし、くしゃくしゃな笑顔で魅了してくるけど、表に出さない尖りめっちゃあるから。色々話の中であったけど、例えば、「俺だったら絶対こうはつけない」とか、言葉とかメロディーとか、さっきも軽く笑いながら言ってたけど、「人の歌詞とか全然聞かねえから」みたいな言ってたじゃん?」
寺澤「やばいよね。(笑)」
大伸「聴けよ。(笑) だから、もうステージに立ったらマジで『己』みたいな。その尖りがなかったら結局ダメだと思うんだよね。正解はないけど、俺の中で大事だと思う。良くない尖りじゃなくて、言い方変えたら『プライド』みたいなもの。露骨なプライド。「もうここ汚されたらもうやらん」みたいな。」
寺澤「あー、あるね。それはね。」
大伸「殺してやるよ、みたいなのが絶対あるから。」
寺澤「うん、めちゃくちゃある。」
大伸「その種類も違うし。2人ともどっちかっていうと、静かに燃える青い炎な感じ。俺はこう、炎上系だけど。(笑)その尖り合ってるボーカリスト3人が混ざった時に、いがみ合うんじゃなくて、リスペクトし合えるっていうのは、マジで俺は奇跡だと思うから。嫌いっていうか、馬が合わないボーカリストって結構いると思うの」
寺澤「いや、いるね。多分ね。」
大伸「やっぱり俺らはただのボーカリストじゃなくて、要はその曲も作ってるわけじゃん。そうなってくると、やっぱ曲の作り方とか、各々の表現の仕方とか、ライブでのポリシーみたいなものがやっぱあるから。水差されたくないところが。だから「お前のそこマジ気に食わない」とか言わないけど「俺は全然かっこいいと思わないわ」みたいな人っているじゃん普通に。けどそれが一切なく。寺澤の感じを俺はやらないけど、でもそれは別に俺がやるべきじゃないからやってないだけで、一切の否定もないというか、完全リスペクトだし。タカシマのミステリアスな感じも俺には出せないし、俺はやらないけど完全リスペクトだし、みたいな。」
寺澤「うんうん。」
大伸「でもタカシマも寺澤も俺も、1歩間違えたら超イタいやつだし、1歩間違えたら、誰よりもダサいというか。」
寺澤「うん、なっちゃうかもしれないよね。」
大伸「けど、己を含めた他のメンバー3人が、そこに焦点当てて突っ走ってるから。多分かっこいいであれてるって思うな。色んな数多くのボーカリストを知ってるけど、特別ここは何されても折れないみたいなプライドがある気がするから。」
─「なるほど。ありがとうございます。」
<第三弾へ続く>