下北沢MOSAiCとEggsが共同で企画する10代アーティストをメインにしたイベント『アオキハルヘ』。1月22日に約1年ぶりに開催された『アオキハルヘ vol.11』には、10ct.、ねぎ塩豚丼、Earworm、スランプガール、プライドの高い深夜のコンビニアルバイト(出演順)の5組が出演。個性際立つ各バンドのライブをレポートする。
トップバッターは昨年高校卒業した4ピースバンド、10ct.だ。先に掲載したEggsの『アオキハルヘvol.11』インタビューで「みんなと歌っている時が1番楽しい」と話したエピソードを観客に伝えた彼らは、終始オーディエンスを巻き込みながら一体感を作り上げた。
1曲目の「青二才」で観客のシンガロングを誘うと、フロアが歌声でレスポンスする。フロントマン3人がパワフルなユニゾンを見せた「たった1人の数秒間を救う歌」、軽快なカッティングで始まる「イジョウ」で、どんどん会場のボルテージを上げていく。等身大の実直な青春ロックを響かせる中で披露した「虚言癖少女」のクライマックスでは、弦をかき鳴らしドラムを乱れ打つ激しいパフォーマンスも。「トッパーとして雰囲気をつくる」とMCで宣言した通り、10ct.はフロアを一気に熱くした。
現役高校生4ピースバンド、ねぎ塩豚丼。結成からわずか1年の彼女たちのステージは、その間、音楽に正面から対峙し続けた努力の蓄積が現れたステージだった。
「備忘録少年」から3曲続けて元気でかしましさを感じるポップチューンを披露。「オン・レーカ・トピーカ」では、なお(Vo./Gt)が愛らしいソフトな声で「手、挙がれますか~?」とフロアに言葉を投げると、オーディエンスがステージに拳を返す。ミディアムな「ユウレイクラゲ」では、浮遊感あるサイケデリックなギターサウンドが際立った。驚いたのは「ロックは消えない!」「Victory」のラスト2曲だ。両曲ともハードなロックサウンドで、バンドのダイナミズムをフロアに放っていく。なおが「飛べ!」とシャウトすると、観客はリズムに合わせて激しくジャンプ。確実な演奏力と、バラエティに富んだ楽曲に目をみはった。
2021年に高校の軽音楽部で結成された大学生バンド、Earworm。このイベントの2週間前にメンバーの脱退が発表された中、サポートギターとともに、この日のライブに臨んだ彼ら。そのステージは前述したアクシデントを感じさせない堂々たるものだった。
メロディアスなアップチューンの「情熱」、続く「僕の歌」でオーディエンスのハンドクラップを誘った後、「『アオキハルへ』、1年ぶりの開催。僕たち自身も久しぶりのステージで緊張しているけど楽しんで帰ってください」とご挨拶。緊張の糸がほぐれたのか、ステージ上のメンバーのテンションが次第に高まっていくのがわかる。ファルセットがきらめく「Viventy」でしっとりと聴かせた後、アップナンバー「輝きだして走ってく」(サンボマスターのカバー)を。この2曲はABEMAオリジナル恋愛リアリティーショー『今日を全力でやってみた』の挿入歌と主題歌に起用された、Earwormにとって初のタイアップ曲だと、MCで嬉しそうに話す姿が印象的だった。ラストは疾走感ある「知不事勿(しらるび)」で、より厚みを増した観客のハンドクラップを受けながら全5曲を全力で駆け抜けた。
高校生&大学生からなる“えもかわいいバンド”スランプガール。バンドにとってホームと言える下北沢MOSAiCで、地に足をつけたパフォーマンスを披露した。
「飲み込む氷菓」「週末メモリー」「17」と、立て続けにポップ&リズミカルなサウンドを鳴らし、序盤から場内を心地よいグルーヴに巻き込んでいく。「失恋ソングを書きました。辛いことがあったらこの曲を聴いてくれたら嬉しい」というMCの後、「エーデルワイス」を披露。先ほどとは打って変わった哀愁漂うイントロでフロアを静寂に誘うも、後半では感情の昂りに歌声を震わせ、狂熱的な側面を見せる。ラストナンバーは、Eggsの『アオキハルへvol.11』インタビューで「ライブで1番盛り上がる曲」と話してくれた「FLUFFY」。フロントマン3人がステージ前に躍り出て煽りを入れると、拳を上げるオーディエンスの顔に笑顔がこぼれた。
トリを務めたのは、2023年12月結成の4ピースバンド、プライドの高い深夜のコンビニアルバイトだ。Eggs主催イベントへの出演が2回目となる彼らは、本イベントに向けたインタビューで「成長した姿を見せたい」と意気込んだ通り、ラストを飾るに相応しいステージを見せてくれた。
「空」の軽やかなドラミング、「親友」の表情あるベースライン、「青紫」のギターの滑らかな速弾き。音源を聴いたファーストインパクトでは不器用な青春ロックのイメージが色濃かったが、ライブを観ると艶のある洗練されたロックサウンドであることに驚嘆。「バンドマン」ではシャウト混じりのメッセージを送り、ラストの「死ぬまで」では「俺らについて来い!」と観客を煽る。縦ノリで楽しみながら終盤に向かうにつれて白熱していくオーディエンス。人間が内包する焦燥と葛藤をエモーショナルなサウンドにのせ6曲を完走した4人。この日ステージから放った「安心しろ!俺らがいる」の言葉に深く納得するほど、安定感のある卓越したパフォーマンスで、ステージに幕を下ろした。
若手バンドにとって憧れのイベントのひとつである『アオキハルへ』。同年代が集結したステージで個性と個性がぶつかり合い、切磋琢磨し合ったバンドたちのこの日の青春の1ページは、それぞれの未来に繋がっていく。そしてこの1ページが重なり、インディーズシーンを作っていくのだと思う。
写真・マチダナオ/文・橋本恵理子
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