2025年10月9日、木曜日。アーティストを発掘し、早耳音楽リスナーにレコメンドするEggs主催のライブイベント『EggsレコメンライブVol.26』が下北沢DaisyBarにて開催された。YouTubeのEggsチャンネルで無料生配信も行われた本イベントに出演したのは、ヨルノピクニック、閃光少女、ガラスの靴は落とさない、ユカリ(出演順)。今、注目すべき4組のステージをレポートする。
芯のある歌声とサウンドでオーディエンスを惹きつけたヨルノピクニック

トッパーは、2021年に高校の軽音楽部で結成された埼玉発の3ピースバンド、ヨルノピクニック。ミユえもん(Vo./Gt.)、たける(Ba.)、みずか(Dr.)がステージに登場。フロア後方までいっぱいのオーディエンスが見守る中、サポートギターを含めた4人編成でライブがスタートした。オープニングを飾ったのは、軽快でほがらかな「おひるね」。続くアップチューン「オーバーオール」では、弾けるリズムと芯のあるボーカルが重なり合い、フロアの熱を一気に押し上げていく。「『Eggsレコメンライブ Vol.26』という素敵なイベントに呼んでくださりありがとうございます。ヨルノピクニックを初めて見る方にも、ぜひ覚えてもらえたら嬉しいです」とミユえもんが穏やかに語りかける。ミディアムチューン「おばけになっても」では、言葉とサウンドを一つひとつ丁寧に重ねていくヨルノピクニック。「最後に楽しい曲を2曲やって帰ります。今日は1日楽しんで帰ってください」と告げると、2曲続けてハイテンションなナンバーを披露。力強くもゆるやかなグルーヴが広がり、場内をハートウォームな空気に包んだ。
setlist
- 01. おひるね
- 02. オーバーオール
- 03. 帰り道
- 04. おばけになっても
- 05. 一期一会
- 06. 100万ビート
島根発・閃光少女(センコウショウジョ)が鳴らす圧巻のサウンド

島根県松江市在住の4ピースロックバンド、閃光少女。この日は、バンドにとって2度目の遠征となる。東京事変の「閃光少女」のSEが流れる中、アオヤマ(Dr.)、こーだい(Ba.)、タカハシ(Gt.)、みく(Vo./Gt.)の順にステージに姿を現すと、フロアから大きな歓声と拍手が湧き上がる。頭から3曲続けてエッジの効いたロックチューンを披露。張りのある伸びやかなボーカル、しなやかに駆け抜けるギター、ファットにうねるスラップベース、ダイナミックにビートを刻むドラミング。4人のサウンドが重なり合い、フロアは一気にヒートアップしていく。「2〜3年ぐらい前に結成したんですが、今年の春に学校を卒業して、本気でバンドしたくてオリジナル曲を始めました。ほやほやな私達ですが、Eggsさんからもらったチャンスをこぼさないように大事に大事にやりきりたい」と、みくが真っ直ぐな想いを語る。ラスト2曲は、よりパワフルなロックチューンをプレイし、フロアのハンズアップと歓声を誘った閃光少女。オリジナル楽曲をはじめてわずか7ヶ月とは思えぬセンスとテクニックで、圧倒的な存在感を魅せた。
setlist
- 01. 青い夢
- 02. 秋空ブランコ
- 03. 逃避行
- 04. 三日月
- 05. 春風に揺られて
- 06. いつかの話
- 07. やまない
中毒性のある楽曲が魅力。札幌在住のガラスの靴は落とさない(ガラスノクツハオトサナイ)

札幌発の2ピースガールズバンド、ガラスの靴は落とさない。現役看護師という経歴を持つおやすみちゃん(Vo./Gt.)と、るな(Ba./Cho.)がサポートドラマーとともにステージに登場すると、フェイスタオルを掲げて声援を送るファンの姿が。彼女らの楽曲は、甘くキュートな歌声と骨太なベースが重なるサウンドのバランスが絶妙で、癖になるポップロックだ。アップチューンではアグレッシブなパフォーマンスを見せ、ミディアムチューンでは一転、しっかりと聴かせる表現力の高さを発揮。「本日10周年を記念したEggsさんのレコメンライブに出演させていただきありがとうございます!私達も10月6日で2歳になりました」とおやすみちゃんがご挨拶。わずか2年の活動期間とは思えないほど、肝の座ったトークで場内に笑い声が広がる。「今ここにいるあなたがいて、見つけてくれて出会ってくれたからこそ私達が活動できています。ありがとうございます!」と想いを伝える。ラストは2人のハーモニーが爽快に響くアップチューン「負けないうた」を演奏。オーディエンスに感謝の気持ちを込めたエールの歌を贈り、2度目の東京のステージを大いに盛り上げた。
setlist
- 01. ゴシップに流されて
- 02. プルースト
- 03. そんなつもりはなかったんだけど
- 04. ねぇ、ダーリン
- 05. 片道切符
- 06. おばけになって
- 07. 負けないうた
キラーチューンを披露し、足跡を刻んだユカリ

トリを飾るのは、2025年4月に本格始動した4ピースロックバンド、ユカリだ。4人の素顔は明確に明かされておらず、彼らが姿を現すまで、その姿は謎に包まれている。ステージに登場した4人は、それぞれハイカラで個性的な風貌だ。1曲目は、ドライブ感あふれるロックチューン「透明人間」。繊細で透明感のある歌声、ノイジーかつ洗練されたクリアなギターサウンド、緩急をつけたベースライン、インディーズ界隈では類を見ないハイクオリティなドラミング。のっけからエンジン全開のパフォーマンスにフロアからハンズアップが湧き起こる。続く「群青色のテレキャスター」「ハルフと僕」では、疾走感あふれる中にメロディラインの際立つサウンドで、フロアのボルテージを高めていく。「今日ユカリ見てくれた人に覚えて帰ってほしいです、ここで終わりなんて言わずに。僕達、音源をいっぱい配信しています。家に帰っても聞いてほしいです。だから俺達のキラーチュン、もう1回やって帰ります!よろしく!」と、ラストソングとして再び「透明人間」をプレイ。ステージ上ではヘドバンを繰り出し、躍動的なジャンプも交えたアグレッシブなパフォーマンスを披露。よりハードに、より情熱的なサウンドで、ユカリはオーディエンスの脳裏にしっかりと足跡を刻んだことだろう。
setlist
- 01. 透明人間
- 02. 群青色のテレキャスター
- 03. ハルフと僕
- 04. 怪盗
- 05. マイノリティヒーロー
- 06. 透明人間
秋めく風が吹き抜ける下北沢で、4組の実力派バンドたちが熱いステージを繰り広げた夜。それぞれのバンドが魅せた個性と熱量は、オーディエンスに真夏のような高揚感を与えたことだろう。これからもさらに研ぎ澄まされ、進化していく彼らのステージを想像すると、期待とワクワクが止まらない。今後の彼らの活動にも、ぜひ注目してほしい。

撮影:金澤綾音
執筆・取材:橋本恵理子













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