『KING OF SCHOOL 2025 ROAD TO CHINA 1st Round-後半戦 DAY2』レポート。中国ツアーに向けて7組が激突

『KING OF SCHOOL 2025 ROAD TO CHINA 1st Round-後半戦 DAY2』レポート。中国ツアーに向けて7組が激突

2025/10/14

2025年9月18日・19日に、『KING OF SCHOOL 2025 ROAD TO CHINA 1st Round-後半戰』が、六本木・SCHOOL LIVE & BAR TOKYO(以下、SCHOOL TOKYO)にて開催された。本公演は、北京で有名な老舗ライブハウスがルーツであるSCHOOL TOKYO主催のオーディションライブ。8月に開催された前半戦と2日間に及んだ後半戦の優勝者が、10月18日に行われる最終戦でグランプリを競う。優勝アーティストは、2025年12月に行われる中国ツアーへの出演権を獲得。本稿では7組が出演した後半戦2日目の熱戦の模様をお届けする。 

開演の前に、司会進行役のSCHOOL TOKYOスタッフ・宮崎洋平氏がステージ前に登場。「中国へ行きたいか〜!?」問いかけると、オーディエンスは拳を上げながら元気よく「オ〜!」と返す。本公演の審査は、観客の投票に加え、終演後の審査員による議論によって決まる。後半戦2日目の審査員は、下北沢ライブハウスGARAGE(以下、GARAGE)の店長という経歴を持つ、腕白舎(ワンパクシャ)代表取締役の出口和宏氏のほか、SCHOOL TOKYOスタッフの許宸氏と宮﨑洋平氏が務めた。 

2日目の口火を切ったのは、仙台を拠点に活動するSHIMEE(シミー) 

この日のイベントの口火を切ったのは、仙台出身のシンガーソングライター、SHIMEE。作詞やトラックメイク、ジャケットデザイン、プロモーションの全てを自身で手がけるマルチスキルの持ち主である。2025年12月には仙台にてワンマンライブの開催を予定しており、仙台を軸に精力的に活動中だ。仙台から夜行バスで来たというSHIMEEはオーディエンスに挨拶をし、深々と一礼。「音楽が好きで好きで仕方がない。僕は皆さんを音楽で抱きしめたくて、音楽をやっています」と自身の想いを語り、「Love at first sight」をスタート。ハンドマイクで大らかなステップを踏みながら、初恋の曲をにこやかに歌うSHIMEE。メロウなフロウで場内をうららかな空気に変えていく。「僕の前にいる1人1人の力のおかげで僕はここに立てている」と、オーディエンスに感謝を伝えるSHIMEE。ラストソングは「僕らはできる」。オーディエンス1人1人の顔を真っ直ぐ見つめながら伸びやかな歌声を届けるSHIMEEに、フロアから大きな拍手が送られた。 

突き抜けるハイトーンを響かせた、実力派シンガーソングライター三上隼(みかみしゅん) 

埼玉県秩父市出身のシンガーソングライター、三上隼。2022年から3年連続で主催野外フェス『彩魂祭(さいたまさい)』を開催し、地元秩父の活性化に貢献。また、ラジオ番組やテレビCMに楽曲提供をするなど、多方面で活躍中だ。人懐こいスマイルを浮かべながら、アコースティックギターを手に堂々とした姿勢でステージに立つ三上。1曲目は重みのあるカッティングギターから始まる「リスタート」。葛藤の中で己を奮い立たせる詞は、オーディションに向けた彼の意気込みを表しているかのよう。空高く突き抜けるようなハイトーンボイスが心地よく響く。海外に行ったことがないという三上は、「日本の次に中国で(僕の曲を)サブスクで聴いてもらっているので、ずっと中国には縁を感じています」と述べ、中国でよく聴かれているというミディアムチューン「冬の花」を披露。透明感の中に深みを感じさせる歌声でドラマチックに歌い上げた。 

“詳細非公開の神秘的バンド”The Quits(ザ クイツ) が魅せた変幻自在のバンドスタイル 

司会進行の宮崎氏から“詳細非公開の神秘的バンド”と紹介を受けたのは、中国出身の男女混合4人組バンド、The Quits。ボーカル、ギター&ボーカル、ベース&ボーカルに加え、女性ドラマーという布陣だ。検索してもヒットしなかった謎めく素顔が徐々に明らかになっていく。「こんばんは!We are The Quits〜!」と威勢よくシャウト。米国のポップパンクバンドを思わせる、エッジの効いたサウンドとパフォーマンスに、フロアも歓声と拍手でレスポンスする。ボーカルとギターによるツインボーカルを聴かせたかと思えば、中盤ではベースのメンバーが、おもむろに「次は私のソロです」と、ベースをギターに持ち替え、弾き語りでミディアムナンバーを披露。曲の後半では、ギター、ドラム、ボーカルが次々と演奏にジョイン。フリーダムに即興演奏を楽しみ、オーディションライブでバラエティに富んだ手札を存分に魅せた。 

中毒性のある楽曲でオーディエンスを魅了したafter20時(アフターハチジ) 

東京都内で活動する3ピースポップロックバンド、after20時。玉手初美(Vo. / Gt.)が「皆さんこんばんはー!after20時でーす!最後まで楽しんでくれたら嬉しいです!」と元気よく挨拶。サイケデリックなサウンド、ポップネスと浮遊感の入り混じった音像、そして玉手のハスキーがかった愛らしい歌声が絶妙なバランスで中毒性がある。オーディエンスのテンションも高まる。「私、横浜の中華街が大好きです。海外に行ったことがありません。中国に行きたいのはもちろんなんですけども、今ここに来てくれたみなさんと一緒に楽しめたらめちゃめちゃ嬉しいなと思っておりまーす!」と述べた後、「中華街」を披露。チャイナシンバルが鳴り響くと、場内は中国の装いに様変わり。多国籍なオーディエンスが、ひとつになったかのように楽しんでいる。ラストは爽やかなイントロで表情を変えた楽曲を披露。オリジナリティあふれる楽曲で、独自の世界観を見せた。 

謎めくインストゥルメタルバンド、AETHRIA(fact.exe)(エスレィア 

中国出身の4ピースインストゥルメタルバンド、AETHRIA(fact.exe)。ツインギター、ベース、ドラムの4人編成。4人ともピクリとも表情を崩さない姿は、ストイックでミステリアスな雰囲気が漂う。メンバー全員、ブラックの装いにイヤモニを装着し、テクニカルなサウンドを黙々と鳴らしていく。同期音を交えた無機質なサウンドは、クールでアーバン。軽やかに高速タッピングを鳴らすギター、メリハリある重低音を生み出すベースライン、ダイナミックなドラムビート。ミクスチャーの要素をベースに、シューゲイズの要素も混ざった音像が広がっていく。終演後は一転。来日からすでに6〜7年が経つという彼らは、流暢な日本語でフレンドリーにコミュニケーションをとってくれた。オンとオフのギャップも彼らの魅力のひとつに違いない。 

前半戦出場辞退のリベンジを胸に、コダマカプセルが魅せたオリジナリティ溢れる世界観

東京都内を中心に活動する4ピースバンド、コダマカプセル。8月に開催された本オーディションの前半戦に出演予定だったが、メンバーの体調不良により、やむなく辞退した。いわばこの日は、リベンジのステージだ。民族音楽を思わせる厳かなサウンドが鳴り響き、ソフトで幻想的なファルセットが会場を包む。1曲目は柳橋(Ba.)、2曲目は宮崎(Gt.)がリードボーカルを務め、どこか声質の似たふたりの歌声が独特の世界観を描き出す。「涼しい夜明けとともにやってきました。何がやってきた?秋。秋の夜。ギターは宮崎、山下、ドラムは福島、ベース柳橋、コダマカプセルです。よろしくお願いします」と柳橋がポエとりーりんディングのようなトーンで自己紹介。不思議な空気感の中、ダイナミズムを感じる緩急をつけた演奏で没入感を生み出していく。異国の地へ迷い込んだかのようだだった。その場の空気をガラリと変えるようなコダマカプセルワールドを体現し、オーディエンスを惹き込んでいた。 

SCHOOL TOKYO店長から、まさかのデスボイスが放たれた!519(ゴーイチキュー)のエネルギー 

トリを飾ったのは、SCHOOL TOKYO店長・李 鶴群が率いる4ピースデスメタルバンド、519。メンバーのうち3人はSCHOOL TOKYOのスタッフで、普段は親しみやすいキャラクターを見せる李は一変、激烈なデスボイスを炸裂させる。つい先ほどまでPA卓で仕事をしていた人物とは思えない迫力に驚きだ。同期音を取り入れたサウンドは重厚かつパワフル。この日の出演者を含めたオーディエンスが、拳を振り上げ、519を盛り立てる。出演者と同じステージに立ち、全身で音をぶつけながら自らも鼓舞する519の姿は、SCHOOL TOKYOがアーティストに寄り添い、ともに歩む場所であることを体現していたように思う。 

「選定が難しかった(出口氏)」と審査員を唸らせた。その中から選ばれたのは果たして…? 

終演後に名前を呼ばれたのは、after20時コダマカプセル。2組が決勝戦への進出を決めた。歓声と拍手を受け、ステージ前に移動するメンバーたちの顔に笑顔が浮かぶ。コダマカプセルの柳橋は「ありがとうございます!審査員の方にも評価していただいて感謝しております」と。after20時の玉手は「投票してくださった皆様と一緒に戦ってくれたバンドのみんなの気持ちを一緒に決勝でも勝って、中国に行きたいと心から思います。皆様引き続き応援してくださると嬉しいです」とそれぞれ感謝と喜びを述べた。中国ツアーへの出演権をかけた最終決戦は、10月18日、土曜日。この日、SCHOOL TOKYOで中国ツアーへの出演アーティストが決まる。 

執筆・取材:橋本恵理子
撮影:緒車寿一 

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