mouse on the keys world tour 日記|7日目「熱い南仏の森で、国境を越えたグルーヴの一夜」

mouse on the keys world tour 日記|7日目「熱い南仏の森で、国境を越えたグルーヴの一夜」

2026/03/10

ランドの森の街モン=ド=マルサンへ。 

2025年11月7日(金)

トゥールーズからモン=ド=マルサンへ  

トゥールーズでのヨーロッパ・イギリスツアー初日公演を終え、ほっと一息ついた。シンガポール公演は経験していたものの、長距離移動、機材の一新、そして慣れないPADを使ったVJ操作という条件でのスタートは、やはりナーバスになるものだ。初日をクリアした今、ここからは微調整を重ね、仕上げていくだけだと気持ちが引き締まる。 

12:00 pm

車で次の目的地、モン=ド=マルサンへ移動を開始した。約180km、3時間ほどの楽な移動である。今回のフランス4カ所(トゥールーズ、モン=ド=マルサン、ボルドー、ラ・ロシェル)の各移動時間は平均2~3時間。ライブが4日間続く中、このスムーズな移動は本当に助かる。ブッキングエージェントとプロモーターの配慮に感謝しかない。 

さて、本日の目的地モン=ド=マルサンは、「3つの川の街」と呼ばれ、ヨーロッパ最大の森「ランドの森」の中心に位置する、水と緑に囲まれた美しいランド県の県庁所在地だ。中世の要塞都市としての歴史を持ちつつ、闘牛やアルテ・フラメンコ・フェスティバルが開催されるなど、スペイン文化の影響が濃い南西フランスの熱い土地でもある。トゥールーズの都会的な賑わいから一転、自然と歴史に包まれた場所でのライブに期待が高まった。 

15:00 pm

本日の会場「Le CaféMusic」に到着した。

建物に入ると、通常のライブハウスとは一線を画す、どこか公共施設的な温かさを感じた。それもそのはず、ここは単なるコンサート会場ではなく、「AMAC(モン=ド=マルサン文化活動協会)」が市と提携して運営する、教育、練習スタジオ、公演を兼ね備えた地域の総合的な音楽文化施設なのだ。 

サウンドチェック。今日はトリオH.Ü.L.K. EXPとのツーマンだ。 

昨日から引き続き、ドラムパッドでトリガーするVJシステムを試した。海外ツアーで連続して同じセットリストを演奏することで、機材の調整も演奏も、日を追うごとに洗練されていくはずだ。 

サウンドチェック後、夕食のために会場内の食堂へ向かった。ここでは、我々バンドメンバーだけでなく、H.Ü.L.K. EXPのメンバー、そして会場のスタッフ全員が食事を共にする、家族的なスタイルが新鮮である。 

提供されたのは、この地方の家庭料理だと思われる煮込み料理だった。 

見た目は赤みがかったソースにホクホクのジャガイモがごろごろと入っていて、日本の肉じゃがを思わせるような、どこか懐かしく安心感のある一皿である。ジャガイモと一緒に煮込まれていたのは、地元産のソーセージと、おそらく鴨か鶏の砂肝(Gésiers)と思われる内臓肉。この砂肝が、小気味よい食感のアクセントとなって、シンプルな煮込みに奥深さを加えていた。一口食べると、旅の疲れを癒してくれるような、心も身体も温まる、感動の味わいである。 

食堂は、まるで大家族の食卓のようなアットホームな雰囲気だ。対バンやスタッフとリラックスして交流できたことで、この施設全体が持つ温かさは、まさにこの「文化の橋渡し役」という運営体制から生まれているのだと納得できた。 

22:00 pm

いよいよ我々 mouse on the keysの演奏がスタートした。 

昨日の微調整を引き継ぎ、非常に安定したパフォーマンスとなった。特に、今回のライブは、ニューアルバムから楽曲「Fail Better」「Womb」のライブアレンジと、それぞれ新たなVJ素材を加えたパフォーマンスを披露し、観客の反応が良く、手応えを感じることができた。ドラムパッドでのVJ操作も今後のライブパフォーマンスに新たな可能性を感じている。 

また、ドイツからわざわざ来たというお客さんもいたそうだ。海外ツアーでは国境を越えたファンに会えることが多いが、最近の日本公演でも、円安の影響で客層が多国籍化している。自分がライブハウスに出始めた頃には、海外オーディエンスがライブを見に来てくれたり、頻繁に海外ツアーに出れるなんて夢物語であった。今やインターネットの力で、世界への情報伝達速度が早まり、一部の特権的なメディアや組織を通さずとも、直接現地のエージェントと繋がることも可能となった。この変化を肌で感じている。 

23:00 pm

我々の演奏が終わり、H.Ü.L.K. EXPのステージへ。 

フランスにおいて国民的な知名度を誇るロックバンド「Noir Désir」で活動していたドラマーのDenis Barthe、サックス&エレクトリックピアノ奏者のGuillaume Schmidt、ベーシストのBenoît Luguéという変則的な編成で構成された彼らのサウンドは、エレクトロのトランス的なグルーヴとジャズのテクスチャが融合した催眠的ジャズロックサウンドが特徴的だ。多様なジャンルを融合させ独自の音楽性を確立しているスイス出身のジャズ・トランペッター、Erik Truffaz (エリック・トゥルファ)とも共演しており、H.Ü.L.K. EXPのその雑食性から今回我々と共にブッキングされたのも頷ける。素晴らしい。 

23:30 pm

ライブ終了後、再び会場の食堂に戻り、対バンとスタッフ全員で打ち上げである。 

和気あいあいとした雰囲気の中、H.Ü.L.K. EXPのメンバーから「mouse on the keysのヨーロッパツアーの前座を全部務めさせて欲しい」と熱烈なオファーを受けた。 

彼らの音楽に対する真摯な姿勢と、我々の音楽への理解の深さが痛いほど伝わってくる瞬間であった。 

現地エンジニアやスタッフからフランスの手厚い文化支援体制など貴重な話を聞くこともでき、音楽と文化的な交流に満ちた特別な夜となった。 

明日、熱い感動を胸に、ボルドーへと向かう。 

mouse on the keys at Le CaféMusic, Mont-de-marsan, France(2025年11月7日)SET LIST

  1. 01. The Dawn  
  2. 02. Completed Nihilism  
  3. 03. Spectres de Mouse  
  4. 04. Seiren  
  5. 05. 最後の晩餐  
  6. 06. Womb  
  7. 07. Fail better 
  8. 08. Raumkrankheit  
  9. 09. Ouroboros 
  10. 10. Praxis  
  11. 11. Emergence  
  12. 12. Earache  
  13. EN. Toccatina 

■スタッフクレジット
執筆:川﨑昭(Dr. / Leader)
撮影:新留大介(Key)、白枝匠充(Key)、川﨑昭、金谷佳弘、Heyo Productions 

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Eggsスタッフキュレーター

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