mouse on the keys、『Baybeats Festival』出演本番の日を迎えた。

2025年11月2日(日)、10:00 am
宿泊ホテルにて朝食。
バイキング方式で、トースト、クロワッサン、卵料理やコーヒーなどが食べ放題だ。円安が続く状況では、大変助かる。
さて、このツアー日記について、改めてご説明しておきたい。
この日記は、昨年リリースされたmouse on the keysの4thフルアルバム『midnight』を提げて行われる(本年2回目となる)世界ツアーの模様をお伝えするものだ。

既に本年5月には第一回目の『midnight world tour』として、ドイツ2ヶ所、イギリス、オランダ、ベルギー、フランス、香港の全7ヶ所で海外公演を行なっている。
今回は、シンガポール、フランス5ヶ所、ベルギー、イギリスの計8ヶ所を廻り、このツアー日記で日々の状況をお伝えしていく。
我々のようにインディペンデントで世界的な活動をしているバンドは、数ヶ所から十数ヶ所をひとつの単位として、1〜2年をかけてリリース音源に紐づいたワールドツアーを行うことが多い。
日本国内だけでライブ活動をしている場合、1年間にできるライブの回数には限界がある。しかし、世界の主要都市を主戦場とする我々のようなバンドの場合、国内のみでの活動に比べ数倍の回数ライブを行うことができる。さらに、海外のリスナーからすれば**「次にいつライブが体感できるかわからない」という希少価値から**、動員や熱量も自ずと高まる。
そういった事情から、日本国内だけでの活動よりもライブ演奏のクオリティを高める機会が増え、結果的に国内のライブも程よい回数でクオリティと新鮮さを高く保ったままパフォーマンスができるという好循環が生まれるのだ。
さて、本日のシンガポール公演は、この第二回『midnight world tour』の初日である。
11:30 am
本番前のサウンドチェックのため、会場のEsplanade Singtel Waterfront Theatreに入る。

Singtel Waterfront Theatreは600人ほどのキャパシティで、映画館であるため着席スタイルでの鑑賞となる。
映画館にしてはかなり重低音が出るなと感じたが、それもそのはず、ステージの上下左右にウーハーが数台追加されていた。
PAエンジニアの鈴木くんからは「低音を下げて調整しておきました」との報告あり。
このサウンドチェック中、今回我々が用意したVJシステムでは、諸事情によりプロジェクションできないことが判明。
悩んだ末、本日は照明での演出に切り替えることにした。海外ツアーでは予期しないアクシデントがしばしば起こりうるが、その時々の状況でできる最善の方法を採る判断力が問われる。
長いツアーを経験していると、こうした思い切りの良さや、たいていのことでは動じない精神力が養われるのは言うまでもない。
17:00 pm
9年前、シンガポール『Japan festival of arts』で我々をブッキングしてくれたプロデューサーのSara Joan Fangと会食。

彼女は現在、音楽系のイベントには関わっていないとのことだが、今でも我々のことを気にかけてくれているのが嬉しい。
19:10 pm

今回はツアーの初日ということもあり、他の会場のライブを見にいく余裕はなかったが、幸い我々が出演するSingtel Waterfront Theatreの共演者であるBlanco Teta(ブランコ・テタ)とtemp. (テンプ)を見ることができた。

Blanco Tetaは、アルゼンチンの「トランスフェミニスト・パンク・ノイズ」と称するバンド。ボーカル、ベース、ドラム、チェロの四人編成だ。音のバランスは正直、全く良くない。しかし、メンバーの存在感とJunkなサウンドが相まって、唯一無二のパフォーマンスで観客を魅了していた。
続いては、タイのバンコクを拠点とするサバーイ・ポップス・バンド、temp.。
こちらは前者とは打って変わって、超安定のサウンドバランス。トロピカルなソフトロックに酔いしれた。
こうしてみると、このラインナップにmouse on the keysをブッキングする『Baybeats Festival』は、ジャンルや地域をシャッフルした、非常に柔軟性のあるフェスティバルだなと実感する。
22:40 pm

そして、いよいよ我々mouse on the keysの出番である。
楽器の転換が終わり、袖から客席を覗き込むと、会場は満員だった。
今回、諸事情でVJ演出を断念したが、むしろ観客が我々の演奏に集中できたのではないかと思い、結果としてよき判断だったと安堵した。
ライブ開始の際、MCが観客を煽ると、観客もそれにしっかり応え、約600人のマッシブな拍手と歓声が地鳴りのように響く。
シンガポールの空港に到着した際にサインを求めてきたファンの方々の期待感は、この会場の観客からもダイレクトに伝わってきた。我々を待っていてくれた人々がいることを、ひしひしと感じる。
今ツアー、良い走り出しとなった。
mouse on the keys at Baybeats Festival (2025年11月2日) SET LIST
- 01. Jesus Christus, unser Heiland, BWV665
- 02. The Dawn
- 03. Completed Nihilism
- 04. Spectres de Mouse
- 05. Seiren
- 06. 最後の晩餐
- 07. Womb
- 08. Raumkrankheit
- 09. Praxis
- 10. Emergence
- 11. Earache

執筆:川﨑昭(Dr. / Leader)
撮影:新留大介(Key.)、川﨑昭
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