Text:中村圭汰
2020年1月12日、恵比寿LIQUID ROOM。
昨年に続き2度目の開催となった「DADARINRIN Supported by SILAS」は、オーディションによって出場権を獲得した2組を含む、計9組の若手アーティストが一堂に集結した。
新たな時代が幕を開け、日本の音楽シーンも今の時代を生きる若者たちによってアップデートされようとしている。
今までにない感性や価値観で生み出された音楽は、今ある既成概念すらも塗り替えてしまうほどのエネルギーを持っていた。それはまさしく、イベント名の由来でもある芸術運動「ダダ」が示すように。
「DADARINRIN」 Supported by SILAS ダイジェスト映像
今回のイベントの幕開けを担ったのは、オーディションによって出場権を勝ち取った”AOAZA”。
特殊なスクリーン越しに彼女たちのシルエットが浮かび上がると、そこに映し出されるグラデーションの映像とリンクするように透明感のある歌声が会場に響く。
センチメンタルな詩世界をしっかりと支えるバンドサウンドが曲のギアを上げると、煌めく閃光のように過ぎ去っていった。
続くは、Hokariによるプロジェクト”Carabina”。彼らもまたオーディションによって今回の出場を決めたアーティストである。
Photo:塚本 弦汰偶発的にその場で産み落とされたような自由さの中に、緻密に積み上げられたエレクトロを基調とした実験的サウンド。囁き声に似た吐息交じりの歌声。そこに幻想的な映像がリンクすることで一層深みを増し、音の海を漂うような感覚に陥った。
Photo:ゆうばひかり前回のDADARINRINから引き続きの出演となった”Mellow Youth”。
Photo:ゆうばひかり彼らのステージは気迫に満ち溢れていた。抜群のグッドメロディもさることながら、ステージ上での圧倒的な存在感と攻撃的な中に上品さを併せ持つサウンド。一気に距離を縮めていくパフォーマンスで観客を次々に撃ち抜いていくと、音楽を楽しむという至極シンプルなことを愚直なまでに貫いてみせた。限られた時間の中で最大限のエネルギーで駆け抜けた彼らは只ひたすらに頼もしかった。
Photo:ゆうばひかり世界に股をかけ、数々の大会で賞を獲得しているヒューマンビートボクサー、”SO-SO”。
Photo:ゆうばひかり登場するや否や、自ら発する音だけを武器に軽快なフリースタイルを披露。この時初めてヒューマンビートボックスに触れた観客も少なくない中で、驚きというフックを使って彼の音楽世界に引き込んでいった。 そこから、ループステーションを巧みに操り、様々な音色とメロディを築き上げていくと、DJのように観客を煽り、大きな一体感を演出。日本音楽シーンに新たな可能性を見た。
Photo:ゆうばひかりcitypop&alternativeバンド、”Cody Lee(李)”は青春そのものを歌っていた。
Photo:塚本 弦汰忘れているのか、忘れようとしているのか。言葉にしたり、考えることを躊躇ってしまう誰しも心の奥底にあるはずの感情を等身大の言葉で紡ぐ。飾り過ぎないシンプルなサウンドと、自然体な彼らの雰囲気によって、その言葉がより生々しく、生きた状態で観客に届いた。 終盤は歪んだギターをアグレッシブに掻き乱し、シャウトをぶちかます。衝動的な音がステージ上で激しくぶつかりあい、全てを出し切って彼らのステージは幕を下ろした。
Photo:塚本 弦汰続くは、シンガーソングライター/トラックメイカーの”Mom”。
Photo:ゆうばひかりJ-POP的要素のあるメロディ。センスの良い言葉選びでシニカルに畳み掛けるリリック。跳ねるような軽快なサウンド。三位一体となって観客の心をしっかりと掴んでいくと、フロアでは自然と拳が挙がった。 彼の歌うメッセージは、物凄く大きなテーマを歌っている中にも、ミニマムな視点が含まれている。それは、今生きている世界と自分自身は全て繋がっているということを教えてくれているような気がした。
Photo:ゆうばひかり続くは、みゆな。ワンフレーズ目から圧倒的な声量で会場全体に彼女の声を轟かせると、共にツアーをまわったバンドメンバーも芳醇なグルーブで応える。
Photo:ゆうばひかり楽曲のアレンジやサウンドメイクの秀逸さもさることながら、彼女の歌そのものが曲の中心のどっしりと構え、メンバー全員を導いていくようなカリスマ性がある。 畳み掛けるように怒涛の勢いで全6曲を終えると、観客席からは割れんばかりの拍手と歓声で彼女たちのパフォーマンスを讃えた。
Photo:ゆうばひかりラフな出で立ちで登場した”Mega Shinnosuke”。ここ恵比寿LIQIDROOMでも彼から一切の気負いを感じることはない。
Photo:塚本 弦汰彼のアイデンティティを表しているかのように、ジャンルレスな楽曲達。ファンク色の強いもの、青春パンクの香るもの。ただ、それら全てをポップに昇華しているのが彼らしさだろうか。 突発的に面白い、楽しいと思うところへ飛び込んでいく無邪気さがステージ上からも伝わってくる。彼が見ている未来を一緒に見てみたいと思わせるライブだった。
Photo:塚本 弦汰今回のトリを務めたのは、”Ghost like girlfriend”。彼の歌う様はどこか荘厳で一挙手一投足全てが美しい。
Photo:ゆうばひかり観客の身体を無意識で操るダンスミュージックとしての効力を持ちつつ、憂いや切なさをクリアな声で浄化していくように歌い上げていく。 後半に披露されたアグレッシブな楽曲では、観客とのコールアンドレスポンスによって会場はエキサイトしていく。 6時間にも及ぶ長丁場のイベントのトリという役割を全うするかのように、期待感という余韻を残して力強く終結させてみせた。
Photo:ゆうばひかり北の大地よりまたまたいきの良い新人の楽曲(札幌某所「最前線」)が配信リリース
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