Text:FOLKS 岩井郁人
みなさん、こんにちは。FOLKSのボーカル/コンポーザー/プロデューサーの岩井郁人(イワイフミト)です。
さて、始まりました!連載コラム「CO-LABO’」。前回も説明したけど、コラボレーションとラボラトリーをかけて『コラボ』です。
ゆかりのあるミュージシャンを始め、ファッション、アート、アニメ、映画、旅、学問、文学などジャンルを問わず様々な「人」や「コト」とコラボレーションして、僕を通してみんなに色々な情報や体験をシェアしていくので、宜しくね。
前回のテーマは「転機」。今回は、僕の転機の一つとして取り上げた「中学校2年生の時にギターに出会ったこと」について、少し詳しく話そうかな。
僕は4人兄弟の末っ子として生まれたんだけど、小さい頃から「生まれたからには何かを世の中に残したい。有名になりたい」って、漠然と思っていた。勉強もそこそこ、スポーツではサッカーをやっていたけど、ベンチ外(笑)。どれも平均的で「これだ!」というモノが見つからず「自分の“強み”ってなんだろう」って悶々とした生活を送っていた。
そんな時、ギターに出会った。あれは、中学2年生の夏。厳密にいうとギターに出会ったのは小学校6年生の時なんだけど、中学2年の夏に学校祭に出るためにバンドを結成して、本格的に弾き始めたのがきっかけで。幼稚園の頃にピアノを習っていたおかげか、他の人より上達が早く、どんどん弾けるようになって、その時に「歴史に名を残すならこれだ!」って思った。単純(笑)。そこからは毎日、三度の飯よりギターを弾いてたし、今まで生きてきた世界が変わったかのようにギターを弾いてるだけで、楽しくて夢中になった。自分の「強み」を知っただけで、こんなにも世界が変わるんだと思った。
ということで、今回のコラボテーマは「強み」をキーワードに話そう!
改めて言うと、このコラムのタイトルは、コラボ。
コラボとは、お互いの強みを組み合わせた形態と言えるんじゃないかと。音楽の世界のコラボで、強みを活かしている例を、僕なりに掘り下げていこう。
まず何と言っても最強なのは、この2アーティストのコラボレーション。英国ロンドン出身のJames Blakeと、米国ウィスコンシン州オークレア出身のBon Iver。
【James Blake - I Need A Forest Fire (ft. Bon Iver)】
組み合わせと言うよりは、どの声がJames BlakeでBon Iverなのかわからないほど一体化している(笑)。
この曲のコラボならでは強みのポイントは2つあると思ってて、まず一つ目は、“静”と“動”の隙間。どちらのアーティストも“静”と“動”の隙間を活かした空間作りが魅力なんだけど、何層にもレイヤーされた二人のハーモニーがその隙間を縫って、結って、繋いでいく点。二つ目は、James Blakeの特徴であるエレクトロニクスと、Bon Iverの強みであるオーガニクスの融合。温かいチャーチオルガンのサウンドの上で、ボールが跳ねるみたいにTR-808のスネアドラムが鳴りだすんだけど、アナログとデジタルをここまで必然的に融合できるのは、James BlakeとBon Iverだからこそ出来る強み。
James Blakeは好き過ぎて、このJoni Mitchellの名曲のカヴァーを、僕もカヴァーしたことがある。
Bon Iverと言えば、つい先日行われたコーチェラフェスの圧巻のパフォーマンスは必見!
もう一つ、コラボをご紹介。
2016年のグラミー賞授賞式にてテイラースイフトと同じ7部門にノミネート、そして最優秀R&Bパフォーマンスと最優秀アーバン・コンテンポラリー・アルバムの2部門を受賞したカナダ出身のThe Weekndと、2014年のグラミー賞授賞式にて最優秀レコード、最優秀アルバム、最優秀ポップデュオ/グループ、最優秀ダンス/エレクトロニカ、最優秀エンジニア・アルバムの5部門受賞したフランスのDaft Punkの、こちらは、米・仏、大物同士のコラボ曲。
【The Weeknd - I Feel It Coming ft. Daft Punk】
この曲の特筆すべき点は、曲中ずっとリフレインされている16分音符のうねるビート。簡単なビートにきこえてシェイカーやハットにサイドチェインをかけてうねらせたり、シンセやハットを微妙にシャッフルさせたり、シンプルに見えてたくさんのギミックを詰め込んでいるのが、さすがDaft Punk様。
このDaft PunkのサウンドがThe Weekendのダークでメランコリックなサウンドの中に潜むポップスター的要素を引きずり出している気がする。彼らの場合は、James BlakeとBon Iverみたいな強みと強みの足し算ではなく、Daft Punkの強みが、The Weekndの強みを掛け算的に引き出しているパターン。一流と一流の強みの掛け算なんだから、良いに決まってるよね(笑)。VHSで撮影したMV、水原希子を女優に起用するなど、そんな遊び心もツボです。
この曲が入っている「STARBOY」は、他にもKendrick LamarやLana Del Rey、Futureとのコラボ曲もあり、Daft Punkはもう一曲、タイトル曲をコラボしてる。
さて音楽業界には、強みを掛け算して引き出す職業があります。それが「プロデューサー」。僕が大好きな英国出身の音楽プロデューサー、Paul Epworth (ポール・エプワース)。Adele、Paul McCartney、U2、Coldplay、The Stone Roses、Bruno Mars、Foster The People、Friendly Fires、Bloc Party、London Grammar、Glass Animals、FKA twigs、Lorde…。もはや、挙げればキリがない(笑)。なかでも、彼の名が世界中に広まったのが、第54回グラミー賞にてノミネートされた6部門すべて受賞したAdeleの「Adele 21」。このアルバム、世界で1,800万枚以上のセールスを記録。リードトラックである「Rolling in the Deep」をプロデュースしたのがポールなんだよね。
ポールは21歳のAdeleの持つ力強いけど脆い、痛みを孕んだ声を、アナログの名機材(アナログテープやRoland RE-201やEMT140など)を使って、さらなる深みへと昇華した。ちなみに映画『007 スカイフォール』にも起用されたこの曲も、彼のプロデュース。それにしてもAdele。この歳で、この深み…恐ろしい。
【Adele - Skyfall】
アーティストの強みを引き出すのが「プロデューサー」の役割で、そのサウンドを具現化するのが「エンジニア」。ポールは、この両方を兼ね備えたプロデューサー兼エンジニア。日本ではまだ浸透していない気がするけど、実は海外では一般的。
予想もしない化学反応を意図して生み出したい場合は、別々の人を起用することもあるけど、アーティストが持っている本来の強みを引き出す場合は、それを引き出すツールまでもを理解している人がベストだと思う。そう言えば、このプロデューサー兼エンジニアも、それぞれの職種の強みを掛け合わせてるね!
次回は、「強み」を別な角度から考えてみようかな。お楽しみに!
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