【MetroCity】
真夏の大戦争2日目、トップバッターを務めたのはMetroCity! 青白い照明がよく似合う、幻想的な雰囲気に包まれたステージに、独特の世界観と伸びやかな歌声が印象的である。ライヴ経験が少ないとは思えない、堂々としたパフォーマンスを見せつけた。「最初からぶっ放します」と宣言し始まった“白日夢”では、フロアに聴かせるようなメロディーと、黒川(vo.gt)のなめらかで心地のよい声がよく響き渡った。いよいよ本格的に活動を始めた彼らのこれからに注目である。
【Manatea】
綺麗な声が堪らなく好きだ。まるで夏に溶けていくような声、歌、感情。リード・ギターのループ感や、スネアとバスドラのテンポ感がある強打は10年代邦ロック・シーンのそれだし、それにあの奇妙でフクザツなベースと声の高低差を見せつけるハイトーンなヴォーカル。所謂カテゴリーでいったらポスト・ロックに位置するのだろうが、エモ、オルタナと言った要素もダークなサウンドから感じ取れた。綺麗で柔らかい声、ストレートな感情を、ギター・ノイズを含んで飛ばすサウンドが特徴的な最後の曲“コズミックブルー”は、フロアの体を揺らしていた。メンバーそれぞれ通ってきた音楽は異なるらしいが、ここまで一体感のあるグルーヴを出す10代のロック・バンドは珍しいだろう。
【rob】
ストロボがよく似合“碧”から始まった、千葉県のrob(ラブ)! 何処か哀愁のある、あいり(gt.vo)の歌声が、広いフロアに響き渡った。ギターを手にして2曲目は、メロディックな“blue scene”へ。動きのあるライヴ・パフォーマンスは見ていて楽しめて、且つとても安定感があり、会場を温めた。まるで訴えかけるような、真剣な表情で歌う“水溜まりと猫”は、伸びやかな声とさわやかなコード感がたまらない1曲である。耳に残るような心地よいリズムと、歌声の中に聴こえる、ベースのスラップにも魅了された。
【postman's walker】
なんて楽しそうに音楽をやるバンドなんだろう。postman's walker、どこか哀愁漂うギター、リヴァーブと高音で耳を撫でるような歌声、安定感があってヴォーカルを支えるリズム隊。歌モノと呼ぶにはどこか日常離れした音が鳴るし、ポスト・ロックと呼ぶには良い意味で落ち着きがあるように聴こえる。postman's walkerの音像が終始捉えられなかったと言えば、よほど彼らの音楽が特異なものに感じられるかもしれないが、10年代の流行である日本語青春パンクやポスト・ロック、正統派のギター・ロックをもう一段階押し上げたような新ギター・ロックのような音楽であると思うのだ。疾走感のあるメロディーにあんな綺麗なヴォーカルを乗せれば、もう嫌いになれる奴なんて一人もいない。この新しい風、ライヴハウスで体感するのもアリ。
【山本修平】
誰でもない、自分の世界観を持っている山本修平に、思わず惹き込まれてしまった。 バンド・サウンドだらけの真夏の大戦争2日目にも関わらず、それらに劣ることなくアコースティック・ギターをかき鳴らした。幅広い音域と、観客を巻き込んで作り上げた一体感のある時間。このままゆったりと時間が過ぎてゆくのかと思いきや、最後の曲“スイーツファイター”ではハンド・クラップ! もちろん良い意味で裏切られたと思いながら、捕らわれない音楽の魅力に惹かれた。
【アトノマツリ】
きっとアトノマツリというバンドは言葉と音に愛され、言葉と音を愛しているんだ。じゃなきゃ、こんな音楽を絶対にやれない。なんてことないスリーピース・バンドだと思っていた、でもやっぱりそれは間違っていた。「あなたの匂いが溶けて行くのがやけに悲しいな」と後悔か、懺悔か、葛藤か、誰しも心のどこかに根付いている負の感情と未来への期待、希望を凄まじい熱量で鳴らしていた。弦を切っても気持ちが切れることはなく、明日への思いや別れと出会いを必死に伝えるように鳴らしていた。「あなたの言葉が痛いよ まだここに居たいよ」と歌っていた3曲目の“セカンドガール”。曲が終わった瞬間何かが生まれたような、それはまるで夕暮れの儚さに似ていた。十代のリアルな感情を小細工なしの愚直なロックン・ロールにぶつけた最後の曲、“最悪な日々”では、ラストのサビでフロアのほとんどが拳を挙げていた。「こんな最悪な人生も捨てたもんじゃないと思った」なんて嬉しそうに歌う、紛れもなく最高のアクトだった。忘れられないあの日の後悔に、未来に咲く花を飾りたかったら、いまアトノマツリを観に行くべきだ。後悔は先に立たないが、彼らは間違いなく過去の憂いも後悔も抱えたまま、そのステージに立っている。
【HollowBug】
SEが流れた瞬間、〈あ、暗いバンドだ〉と思った。まず照明が暗い。ベースが8月末の学生みたいな顔で入場してくる。心配で仕方なかったが、結局そんなことは取り越し苦労で終わってしまった。“虚ろ”の「1秒先の未来を失ったっていいさ」は、 闇を彷徨って彷徨って彷徨って彷徨って、途方に暮れて光を探してる人にしか書けない歌詞だ。サウンド的にはやはり10年代のポスト・ロックの影響を受けている印象だったが、今流行っているポスト・ロック・バンドとは違うベクトルの熱量や気迫を感じた。光と影、絶望と希望、生と死、ありふれた日常の中で紙一重で重なり合う衝動とジレンマ。HollowBugは〈暗いバンド〉なんかではなく、真っ暗闇に差し込むただ一筋の光を懸命に追おうとする、そんなバンドだと思ったのだ。なんとなくだけど、赤が似合うバンドって絶対売れていくと思うんだよね。そして、ホロバグは間違いなく赤が似合う。
【CENTRAL DOGMA】
「CENTRAL DOGMAです、よろしく」という頼もしい一声で彼らの時間が始まった。アップ・テンポな“世界戦線”は、荒々しい声と疾走感溢れるバンド・サウンドが愛おしい。衝動のままに、手が挙がるということ――ああバンドだなあと思った。時折聴こえるコーラスとの掛け合いと、荒々しさと透き通る声が混在した瞬間というのはどうしてこんなにも美しいのだろうと考えてしまう。メンバーの受験のため9月16日の自主企画で活動休止を控えている彼らには、帰ってくることを心待ちにしている人がいる。最後の一音まで鳴らし切った。
【monopolii】
力強い円陣から、勝負をしにきたんだというのがバチバチと伝わってきた。1曲目の“紫陽花”では、写真のように1コマずつ進んでいくような、ストロボの照明が写し出す彼らのシルエットを見て、こんなにも強い存在感のあるバンドが若い世代にいることは、同じ道を志す者にとって大きな希望であり、同時にぶつからざるを得ない絶望なのだろうなと感じた。たまったもんじゃない。そして最後の、monopoliiのすべてをぎゅっと詰め込んだような“スーパーロック”で思い切り、そしてとことん打ち抜かれた人も多いのではないだろうか。活動休止期間を終えた来年の3月、4人は本当に化けて帰ってくるのだろうと確信した。音源だけでは伝わりきらない部分が、彼らの真の魅力であると思っている。ライヴに足を運ぼう。
ゲストアクト【Rhythmic Toy World】
一曲目“いつか”の1音目が鳴った瞬間、とにかくエネルギーが溢れて、フロアの温度が一気に上がった気がした。ゲストではなく、同じように出演者としてステージに立つと宣言したリズミック。いつかこの日が伝説になるのだろうなと思わされた。最後に、この日の十代バンドのギター・ヴォーカルに呼びかけて、「みんなすぐ追いつく。いつか対バンした時はこれでやろう、みんなでやろう」と手渡したピックは、きっと彼らのこれからの原動力の1つになるに違いない。フロア全体でのシンガロングや、思い思いに手をあげる人たちにも、熱が伝わり2日目の締めくくりに相応しい時間であった。
text by: ハル、マツオハジメ
photo by: 町田菜亜、まつ◎、リカ
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