~ジョゼ×大谷(ダイノジ)対談~ 欠点を愛する世界。ポップスターを目指す両者の思い【後編】

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「ライブハウスに行っても、いつも同じようなメンツばかり」こういう経験をした人は、少なくないのではないだろうか。やむを得ないことではあるのだが、ブッキングライブというものは同じようなジャンルや年代で固まりがちだ。それゆえに“界隈”なんて呼ばれ方をされたりもする。そういうライブイベントが悪いわけではない。しかし、得られにくいものもある。それは、“新しい出会い”だ。

来たる10月、ジョゼが面白い企画をする。その名も7th Gradation tour東名阪企画『to Fantastic city』。イベント名を見ただけだと、一般的な企画となんら変わらない印象を受けるかもしれない。しかし、この企画はいつもの彼らと一味違う。なんとライブに“ゆくえしれずつれづれ”といったアイドルや、“大地(ダイノジ)”といった芸人が出演したりするのだ。今回は、この企画を記念して行ったジョゼと大谷(ダイノジ)との対談の様子をお届けする。


Text:坂井彩花
Photo:塚本弦太

―逃げることをやめた先に見えた世界―

吉田:会うやつ全員に喧嘩を売ってたとか、今の穏やかな大谷さんからは想像がつかないです。何か変わろうと思ったきっかけってあったんですか。

大谷:「大人のコンソメ」っていう「ゴッドタン」の前身番組があったんだけど、その番組の最終回でスタッフをすごく怒らせちゃったんだよね。当時の俺は、すごく逃げるやつでさ。どれだけ俺にフリが来ても、大地さんをイジって滑らせることに逃げてたんだよ。人の失敗を叩く側にいれば、自分が批評される側にはならないからね。「大地が滑った!」って口に出すことで起きる小さな笑いが、自分の笑いだと勘違いしてた。「大人のコンソメ」のスタッフは、それが俺の弱点だってわかって気にかけてくれてたのよ。でも、俺は最後の最後まで逃げ続けちゃったんだ。その結果「ゴッドタン」のレギュラーに入れなかったし、番組にも全然呼ばれなかった。それでもまだ逃げ続けてたから、俺は何も持ってなくてさ(笑)。運よく「ゴッドタン」に呼んでもらえた時ですら、めっちゃ滑るの! おぎやはぎさんや劇団ひとりさんが愛あるイジリをしてくれてるのにだよ?追い詰められてたら劇団ひとりさんが「じゃぁ、曲紹介やって!」って言ってくれて、言われたとおりにやったらドカン! ってウケて。それが最初のきっかけかな。

決定打になったのは、「めちゃ×2イケてるッ!」の最終オーディション。俺ら仕事が0になった時があってさ。それでもフジテレビの「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」のネタ見せにだけは、しつこく行ってたんですよ。何度もネタ見せに行くうちに“テレビに出られなくても、ネタ見せで喜んでもらえる人になろう”って思うようになって。目の前の人を喜ばせる人になったら、違うオーディションに呼んでもらえたんだ。「せっかく呼んでもらえたから」って行ったら、そこにいたのは10年以上芸歴が下の後輩たちで。とうとう俺らもここまで落ちたか…って現実に直面してね。そろそろ全部を受け入れなきゃダメだよなって実感したんすよ。そしたら、バカリズムがパンツ一丁の大地さんを見て「これR-1チャンピオンすよ!」って言ってたのをふと思いだしたの。昔は「何いってんだよ」って思ってたけど、いま売れてるやつが言ってるなら正しいんじゃないかってなって。大地さんに頼み込んでパンツ一丁でネタ見せをしたら、あれよあれよとオーディションに受かって優勝しちゃってさ。
それで呼んでもらえたのが、「めちゃ×2イケてるッ!」の最終オーディション。俺らはオーディションのオーディションだと思ってたから、カメラが回っててびっくりしたなぁ(笑)。大地さん民法のテレビ局に行く時だけ香水をつけるんだけど、そのおかげで極楽とんぼの加藤さんに「俺の知り合いにも、めっちゃ香水かけるデブがいる」って声かけてもらえて、モノマネをやったらハマったんだよね。その光景を見てたら「俺のプライドが全部を邪魔してたんだ」って気づいて。番組の最後に白紙を渡されて手紙を読むんだけど、その時には「僕が今まで大地さんの足を引っ張ってました」って自然に出て来たんだよ。そしたら、みんな仕事をくれるようになったんです。

だから、俺は気づくまでに、本当に時間がかかってる。でも、それでよかったなって。あのモラトリアムな時間があったからこそ、クリエイティブへのモチベーションに繋がっているような気もするしね。大事な期間だった。

羽深:めっちゃいい話ですね。リアルタイムで「めちゃ×2イケてるッ!」全部見てましたよ。加藤さんと大地さんのいい匂いの絡みとかも鮮明に覚えてます。

―いまの時代の“ポップスター”とは―

大谷:だから俺、めっちゃ“クズ”だったんすよ(笑)。

羽深:でも、自分のことを“クズ”って言えるのってかっこいいですよ。

大谷:みんなクズな面があっていいと思うんですけどね。なんで、社会はあんなに怒るんだろうなぁ…。俺はレディ・ガガ以降って、“いいね”を集めるやつがポップスターじゃなくて、“いいね”をあげるやつがポップスターだと思ってるんだ。「あなたもいていいんだよ」って言ってくれる人が、俺にとってのロックバンド。BiSHってアイドルがまさしくそれで。

羽深:BiSHいいですね!!

大谷:彼女たち自身も大好きなんだけど、曲もすごくよくて。なかでも『beautifulさ』って曲が大好きで、DJをやる時には毎回かけるくらい。俺は「あなたもいていいんだよ」って肯定できる人になりたいんです。もちろん犯罪はダメだけど、お互いの違いを個性として認めていきたい。周りから「お前、食いすぎだよ」ってツッコまれる子には「めっちゃ、いいやん! たくさん食えるの最強!!」って伝えたいし、周りよりもエロくて「俺、頭おかしいのかな?」って思ってる子には「俺もエロいこと好きだよ!」って(笑)。何が正しくて何が間違ってるとか、そんなことには全く興味ないんです。「あなたみたいな人がいてもいい」ってことだけを、俺は伝え続けていきたいから。少なくとも俺は、ロックバンドにそうやって言われてきた気がしてるんだよね。

羽深:僕たち結成当初から「ひとりぼっちのための音楽」をどうしてもやりたくて。でも、思ってるだけじゃ無理だと思ったんです。もっと自分たちのかっこ悪いところもだしていかないと、いろんな人を肯定できないなって。そのことに、もっと早く気づきたかった…。

大谷:でも、その期間も大切なんだって。ジョゼというバンドが、どんどん変わりながら出来上がっていくことが大事なんだと俺は思う。その過程ですら、可視化されてるんだもん。変わっていくあなたたちの姿を見て「こうやって変わればいいんだ」「ジョゼだって、こういうことをやってるから」と思うんだから。“ジョゼがいるから生きていける”っていう人もいるからね。すごいことだよ。

羽深:僕、死ぬほどいじめられてた時期があるんですよ。いじめてる側は周りを把握しきれてなかったりするんですけど、いじめられてる側って全部見えちゃうんですよね。いじめっ子のトップがいて、その周りに取り巻きがいて。みんなでダメージを与えてくるように見えて、直接手を下さないやつっていうのがちらほらいるんですよ。僕は、そういうやつが一番嫌いでしたね。そっち側にいるなら「お前も来い」って思ってました。

大谷:すごいわかる! そういう人たちって悪いことをしてると思ってないのがすごいよね。なんなら「いじめてるのもこいつのため」くらいに思ってるもん。でも、そういう状況を越えてきた羽深君だからこそ“真実”を伝えられると思うんですよ。同じように苦しい人に「大丈夫だから。俺らの歌があるから」って。それがもうポップスターの宿命というか…。リンキンパークのボーカルが亡くなって、ロックバンドとして成功しても個人の悩みは消えてなかったんだなって感じてしまったから、すべてを背負わせるのは違うかなって気もする。でもジョゼだったら、そういうメッセージを発せれる気がするんだよね。

羽深:今なら、僕も言える気がします。

大谷:それは素晴らしいことだと思う。言い方は直接的じゃなくても、“言える”ってことだけで大事なことだから。俺らが音楽をめっちゃ聴いてた90年代って、音楽に差別がすごくあったんですよ。「FUJI ROCK FESTIVAL」に行ってるやつが偉くて、ヴィジュアル系のTシャツを着て「RISING SUN ROCK FESTIVAL」に行こうものなら指をさして笑われて。でも今って、そういう時代じゃないと思うんです。どんな音楽があってもいい、選ぶのはオーディエンスだから。イベントに来てくれる人の“音楽が好き”って気持ちを肯定する方が大事だと思うんだよね。俺はそういうバンドが好きだし、自分のイベントもそれを1番大事にしていきたい。それが認知じゃなくて人気に繋がると思うから。
最近ね「“人気”と“認知”をはき違えてはいけない」っていうことをよく話すんだ。認知はされてるけど人気がない人って、いっぱいいるじゃないですか。広告で仕事をしている人ってそういうタイプなんだけど、たった一回の失態があるだけで全部ひっくり返っちゃう。それって“広告”という認知を利用した嘘で、“本心”じゃないからなんだよ。
俺、昼のラジオ放送で“あったか敷きパッド”を日本で一番売ったことがあるんです。知人みんなに贈るくらい商品に惚れ込んでて、それを語ったらめっちゃ注文が来てさ。声は嘘をつけないんすよ。“嘘”ではなくて“真実”を伝える、それがこれからの広告なんです。だってスマホが普及した今、“嘘”は全部バレちゃうもん。みんながスマホを持っていることって、すごい革命で。“自己表現が簡単にできる時代になったんだよね。受動的なだけのクリスマスより、仮装をして自ら当事者になれるハロウィンの方が盛り上がってるのも、そういう理由。だから、全国のライブハウスはもっとお客さんが能動的になることについて考えたほうがいいよね。写真を撮るスポットを作ったりとかさ。

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ジョゼ
明治学院大学内軽音サークルにて結成。昨年2016年には、プロデューサーに根岸孝旨氏を迎えて、3rd Mini Album「YOUNGSER」、4th Mini Album「honeymoon」の2枚を立て続けにリリース。結成7周年を迎えた今年5月、自分達の足跡を辿る旅、東名阪ワンマンツアー「7th Gradation」開催。

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