「ライブハウスに行っても、いつも同じようなメンツばかり」こういう経験をした人は、少なくないのではないだろうか。やむを得ないことではあるのだが、ブッキングライブというものは同じようなジャンルや年代で固まりがちだ。それゆえに“界隈”なんて呼ばれ方をされたりもする。そういうライブイベントが悪いわけではない。しかし、得られにくいものもある。それは、“新しい出会い”だ。
来たる10月、ジョゼが面白い企画をする。その名も7th Gradation tour東名阪企画『to Fantastic city』。イベント名を見ただけだと、一般的な企画となんら変わらない印象を受けるかもしれない。しかし、この企画はいつもの彼らと一味違う。なんとライブに“ゆくえしれずつれづれ”といったアイドルや、“大地(ダイノジ)”といった芸人が出演したりするのだ。今回は、この企画を記念して行ったジョゼと大谷(ダイノジ)との対談の様子をお届けする。
Text:坂井彩花
Photo:塚本弦太
大谷:3人とも素敵な人柄だし、ジョゼはどんどん変わっていきそうな気がしたよ。それは全然悪いことじゃないし、むしろ一貫性がないって俺は最高だと思ってる。かっこいい、かっこわるいじゃなくて、生身の人間として魅せていくバンドになっていくともっと面白そうですよね。羽深君の作る曲ってすごいファンタジックだし、そういう作品を作ることに長けてると思うんだよね。だから、その世界観を磨いていくのはいいことだと思うんです。
ただ一方で、“この一行を届けるための楽曲”が次のアルバムあたりに出てきてもいいのかなって。リアルなロックバンドにしかできない散文的な歌詞の曲。すなわちそれは、初めてジョゼを見た人が、思わず覚えて帰るようなアンセムになる1曲。例にするなら、Mr. Childrenの「himawari」みたいな。あの曲、バンドサウンドもさることながら、散文で綴られた歌詞が最高でさ。歌詞が物語になっているわけじゃないから、頭から読んでいくだけだとイマイチ内容がわからなかったりするんだよね。でも<ひなたで咲く向日葵>っていう1フレーズがでることで、急に全部が映像になるんですよ。そのフレーズにたどり着くまでの散文たちが、一気にフラッシュバックする。そういう曲って、ロックじゃないと歌えないと思うので。“本当に伝えたい一行だけを伝える曲”って、ジョゼにあってもいい気がするな。「モラトリアム・ラヴ」は、そういう雰囲気が漂ってるし、できそうな匂いは感じたので!
羽深:頑張ります!
大谷:俺はラジオの現場で当日のライブには出られないけど、大地さん一人でも必ず盛り上がるので。ダイノジって、どちらかがいない時にすごい盛り上がる芸人なんですよ(笑)。お客さんが助けてくれるんです、いつもいつも。大地君すごいんですよ。お客さんが幸せそうにしてると、すぐに泣くんで。俺が主催した野外フェス、打ち合わせ一回も出てないのに到着して5分で号泣したからね(笑)。そういうとこが、あいつはスターなんですよ。
羽深:相方をこうやって言えるのは素晴らしいなぁ…。
大谷:でも、俺はバンドの人にそう思わせられてますよ。俺が1回目の野外フェスをした時に、BLUE ENCOUNTが出たんすよ。彼らってMCがめっちゃ長くて真面目で熱いの。途中でお客さんもざわざわし始めたりするんだけど、メンバーは誰も突っ込まなくてさ。それで、いざ演奏が始まるとその瞬間に会場が一体になって。明らかにあの日のベストアクトだった。俺たち運営者もみんな感動しちゃって。でも、気になったから終演後メンバーに訊いたのよ。「あの長いMC、ツッコミたくならないの?」って。そしたら「俺たちの気持ちを全部代弁して言ってくれてるから思わないです」って返ってきてさ。笑っているやつがいるのもわかってるけど、そっちが勝ちじゃないって言われて「めっちゃいいバンド!」って思った!雰囲気的には“笑ってる方が勝ちな空気”ってあるじゃないですか。特にお笑いの現場って、そういうのめっちゃ多いんですよ。笑って場を支配するやつは、どこにだって存在する。でも、そんな支配者に負けずに誰かを救う言葉を届ける方が大事なんですよね。ちょっぴりキザかもしれない、ちょっぴり熱すぎるかもしれない。でも、ジョゼならそういうバンドになってくれそうな気がするから。次の作品も含めて、ジョゼの活躍を楽しみにしているお笑い芸人がいるってことを、頭の中に入れておいてくれてると嬉しいなぁ。頑張ってください!
ジョゼ:ありがとうございます。
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