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Text:飛内将大
【前回】までは、部屋や金属を物理的に共鳴させることで得られる、いわゆるアナログなリバーブに関するご紹介をした。1970年代後半、ついにリバーブはデジタルの時代へ。
1950年以降、世間ではデジタル化が進んでいき、コンピュータは単なる計算機としての役割から、開発や生産に携わる重要な役割を担うポジションを確立していった。その流れの中で開発されたデジタル・リバーブは、音の響きが減衰していく現象を電子的に再現したものである。デジタルとは、離散的なもの。って言われても分かり辛いので、イメージしてみよう。
アナログが坂道だとしたら、デジタルは階段。階段が超細かくなれば、いつか坂になる。アナログ・リバーブが1本の「線」だとしたら、デジタル・リバーブは「点」の集合体。つまり、デジタルでアナログ・リバーブを再現するためには、より「たくさんの点」が必要になる。近年も毎年のようにハイスペックなコンピュータやスマートフォンが発売されて、やれソフトウェアのアップデートだ、やれアプリが対応してないだ、と悩まされるほどに進化していくデジタルの世界。
案の定、デジタル・リバーブが誕生したころのコンピュータは非力で、アナログ・リバーブを再現するに値するほどの「たくさんの点」を処理することが出来なかった。なだらかな坂道のようなアナログ・リバーブに比べたら、せいぜい砂利道のようなものである。
しかし、砂利道ってもんは、時として転んで膝を擦りむいたり、通い詰めた小学校への近道の風景だったり、実は心に深く刻まれる思い出の1ページになりうる貴重な存在だったりする。
1980年代に誕生したAMS RMX16やLexicon 224Xといった砂利道のようにザラついたリバーブの音がいまだに愛されるのは、そういった景色を見せてくれる魅力があるからだ。
めまぐるしく進化していくコンピュータとともに、リバーブも「点」を増やすことができるようになり、よりクリアに、且つアナログの限界を遥かに超えた長い減衰音を生むなど、実験的で革新的なサウンドをも作ることが出来るようになった。また、大きな筐体を必要とし高価だったリバーブ機材ではあるが、現在はソフトウェア上で動作させることが出来るようになり、誰でも気軽に導入出来るようになった。
さらに近年では、実際に存在する空間でサンプリングしたデータを元に、その場所での空間の響きを再現する「サンプリング・リバーブ」が登場し、より現実的でリアルなリバーブを生み出すことが出来るようになった。もはや“聴感上どこでもドア”の完成とも言える。
21世紀、まだドラえもんはいないけど、僕らにはリバーブがあるじゃないか。
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