2026年8月4日。アーティストを発掘し、早耳音楽をリスナーにレコメンドするEggs主催のライブイベント『Eggsレコメンライブ Vol.29』が、下北沢近道で行われた。出演は、strobogram、swag.、ute、黄金中央、CANTABILEの5組。それぞれの個性を存分に発揮したステージの模様をお届けする。
緊張をバネに秀逸なメロディセンスを光らせたstrobogram(ストロボグラム)

1番手は、東京を拠点に活動するバンド、strobogram。本公演の直前に新メンバーが正式に加入したばかり。この日は、ベースのJunが怪我で療養中のため、キーボードのオークボがベースを担当。アクシデントに柔軟に対応できるスキルを持つ5ピースバンドだ。全身黒の洋服を着用したメンバーがステージに登場。1曲目は「突風」。疾走感あるサウンドがフロアを駆け抜ける。続く「Re:load」では、哀愁を帯びたポップロックを展開。サビではハスキーな歌声が一気に爆発。真摯な歌声と泣きのメロディがフロアに突き刺さる。「こんなに大きなステージで演奏できるなんて思っていなくて、全員めちゃくちゃ緊張しております」とオークボが述べた後、この日に合わせて曲名のない楽曲にタイトルをつけたという「ATTENTION!!」をプレイ。グルーヴィーなビートにオーディエンスは自然と体を揺らす。アーバンな趣のある「Hakumei」を経て、ラストはメロディアスなアップチューン「コウイショウ」。瑞々しさと切なさを併せ持つサウンドで、トッパーとしてフロアを心地よく揺らした。




setlist
- 01. 突風
- 02. Re:load
- 03. ATTENTION!!
- 04. Hakumei
- 05. コウイショウ
多彩なテクニックでグルーヴを生み出したswag.(スワッグ)

大阪発の2ピースバンド、swag.。ボーカル&ギター、ベースに加え、サポートドラマーを迎えた3人編成で臨む。ジャジーなテイストをまとった「Loop in the city」をプレイ。ハスキーな歌声で英詞の雰囲気を醸し出しながら日本語を紡いでいく。続いては「K.O.」。Aメロは音数を抑え、ベースとドラムだけでありながら厚みのあるサウンドを構築。踊るようにうねるベースに加え、間奏では鮮やかなスラップも飛び出した。ロックチューン「拝啓」を経て、「Eggsさん、今日は呼んでいただいてありがとうございます」と感謝を伝えるRui(Vo. / Gt.)。「echooo」では、低くうねるビートと余白を生かしたトラックに歌声が残響するように重なり、反復するフレーズが独特のトランス感を生み出す。心地よいグルーヴに誘われ、オーディエンスも自然と身体を動かしていく。最後は疾走感のある「Hey boy Hey girl」。多彩な音像を作り上げたswag.は、高いポテンシャルを感じさせるステージを魅せた。



setlist
- 01. Loop in the city
- 02. K.O.
- 03. 拝啓
- 04. echooo
- 05. 3step
- 06. Hey boy Hey girl
儚さと強さが交錯する音像で個性を放ったute(ユテ)

3人組オルタナティブロックバンド、ute。どこか儚げで心地よい空気感をまとったサウンドの「サーカス」を披露。ウィスパーがかった歌声にベースのニュートラルな歌声も重なり、ツインボーカルの奥行きを生み出していく。エッジの効いたドラムも楽曲の軸を支え、儚さと強さを併せ持つ独自の音像を描いた。「埋没」ではアンニュイな幕開けから、時折ビートを加速させながら自在に表情を変化させる。続く「いいかげんなこと」は幻想的な浮遊感が印象的だ。それをより一層際立たせるのが文学的なリリックである。中盤にはドラムソロも披露。タムを和太鼓のように小刻みに打ち鳴らす繊細なアプローチから高速キックまで、緩急をつけたドラミングにフロアから大きな拍手が起こる。ラストは「変わりゆくものたち」。穏やかさと激しさ、幻想と現実を行き来する多彩なステージで、強い存在感を放った。



setlist
- 01. サーカス
- 02. girl(s)
- 03. 埋没
- 04. いいかげんなこと
- 05. ドラムソロ
- 06. キッチン
- 07. 商店街
- 08. 変わりゆくものたち
ハプニングを演出に変え、オーディエンスを沸かせた黄金中央(コガネチュウオウ)

「北海道から来たっす〜」と陽気にオーディエンスに挨拶をしたのは、黄金中央。ボーカル&ギター、キーボード、ベース、サンプラー、ドラムの5人編成だ。「Sauvage」では、ジャジーかつファンキーなサウンドを展開。要所で存在感を放つ、ジャジーな鍵盤。前傾姿勢でベースを鳴らしながらフロアを煽るババンゴ!!てちぺい(Ba.)。5人の演奏が生み出す厚みのあるサウンドがフロアのボルテージを上げていく。疾走感ある「消えた月」では会場の熱気も右肩上がり。ところが、ここでまさかのハプニングが発生。「誰か、ギター貸してくれる人〜?弦が切れちゃった」というかんた(Vo. / Gt.)の呼びかけに、strobogramがギターを取りに向かう。「東京って冷たい街だと思っていたけどあったかいっすね〜」と笑いを誘い、「北海道で頑張ってる俺たちと、東京で頑張ってるお前らに乾杯!」と、かんたはビール片手に場内を沸かせる。ギターが到着し、電子音のドラムから始まる「アイリス」へ。すると、ここぞとばかりに、かしむら(Dr.)がフロアに出て踊り出す。オーディエンスのテンションは最高潮だ。最後はパーティーチューンの「ハクビシンへ。」を披露。ピンチを物ともせず、音楽の楽しさを体現するステージで観客を魅了した。





setlist
- 01. Sauvage
- 02. 消えた月
- 03. カイン
- 04. アイリス
- 05. 帝国
- 06. ハクビシンへ。
熱量たっぷりの青春ロックで真摯に音楽と向き合ったCANTABILE(カンタービレ)

トリを飾るのは、千葉を拠点に活動するバンド、CANTABILEだ。ぜん(Ba.)が海外留学で活動を一時休止中のため、この日はサポートベーシストを加えた4人編成でステージに登場したCANTABILE。夕焼け色のライトに照らされながら「茜」をプレイ。同期音を取り入れたドライブ感あるサウンドに、なめらかなギターの音色が重なっていく。彗翔(Vo. / Gt.)が「どんどん行こうぜ!」と告げて披露された「グッバイハニー!」ではビートをさらに加速。実直に音を鳴らす姿が清々しい。現在20歳だという彗翔は、「高校生の時からEggsに曲をリリースしていたので、今日、呼んでいただいて嬉しいです」と喜びと感謝を述べる。そして、爽快な青春ロック「ロンリーロンリー」、リズミカルな「ねないこだれだ」と立て続けに披露。ラストは「サマー・オブ・テラー」。「最後、めちゃめちゃブチ上がるぞ〜!」という彗翔の言葉とともに場内の熱量は一気に上昇。真っ赤なライトに照らされたステージで、「オ〜オ〜オ〜!」とオーディエンスと声を重ねるCANTABILE。アウトロでは彗翔が一旦ステージから退場し、残る3人でセッションを展開。再びステージに戻ってきた彗翔が最後の言葉を告げ、熱気に満ちたこの日のステージを締めくくった。



setlist
- 01. 茜
- 02. グッバイハニー!
- 03. ロンリーロンリー
- 04. ねないこだれだ
- 05. サマー・オブ・テラー
下北沢近道のステージに立った5組は、それぞれの個性を武器に、それぞれのアプローチでオーディエンスを楽しませていた。きっとこの日をきっかけに、彼らの音楽がより多くの人へ届き、新たな出会いを生んでいくことだろう。『Eggsレコメンライブ Vol.29』で生まれた熱が、次なる出会いへとつながっていくことを願いたい。

執筆・取材:橋本恵理子
撮影:山田耕一
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